自作スポーツドリンクの黄金比(粉飴・塩・クエン酸)を示すサムネイル カラダ
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覆面アスリートがお辞儀をしているイラスト
10秒でわかるこの記事の内容

市販の甘さや量が合わない、補給で胃が重い──自作スポーツドリンクなら、粉飴・塩・クエン酸で安く自分好みに作れます。ただし濃度しだいで逆効果。練習・レース・夏で配合を変えるのが要点です。

自作スポーツドリンクの粉飴を前に配合に迷う岸くんのイラスト

✅ 本記事で得られること

  • 粉飴・塩・クエン酸の配合の考え方と、ダマにしない溶かし方
  • 練習・レース・夏の暑さ・減量で、中身をどう変えるか
  • 市販との使い分け、飲み過ぎ・虫歯など注意点まで

👤 こんな方におすすめ

  • 粉飴は買ったが、水に溶かすだけで使いこなせていない人
  • 市販スポドリ代を抑えたい、甘さや添加物が気になる人
  • 練習量が多く、補給で胃が重い・エネルギー切れする人
岸くんが考え込みながら質問する
岸くん

粉飴で自作スポドリ作れるんは知っとるけど、正直ただ水に溶かしとるだけやねん。これでええん?

覆面アスリートが共感の笑顔
覆面アスリート

作れますよ。ただ”溶かすだけ”だと半分損です。塩とクエン酸を足し、濃度を合わせるのが鍵です。

岸くんが驚き顔で突っ込む
岸くん

濃度?めんどくさそうやな…。結局、市販のスポドリ買うほうが早ないん?

覆面アスリートが本文へ誘導
覆面アスリート

うまく作れば市販よりコスパもよく、練習・レース・夏で中身も変えられます。順に見ていきましょう。

自作スポーツドリンクは市販より「得」なのか?

自作・市販粉末・ペットボトルの1Lあたりコスト比較図
結論 · 要点2026.06 更新 · 価格.com ほか 2026.06

自作スポーツドリンクは市販より得ですか?

自作スポーツドリンクが市販よりはっきり得なのは「ペットボトル」と比べたときだ。粉飴は1kgあたりおよそ800〜1,350円(2026年時点の目安)で、ペットボトルを買い続けるよりずっと安い。ただし市販の粉末タイプは電解質込みで安く、糖質源だけの自作と価格差は小さい。最大の利点はコストより「中身を自分に合わせられる」ことにある。

  1. 得が大きいのは「ペットボトル比」:ペットボトルのスポーツドリンクは1Lあたり約370円。粉飴ベースの自作はこれに対して明確に安い
  2. 粉末スポドリ比では差が小さい:市販の粉末は電解質込みで1Lあたり約90〜110円。糖質源だけの自作と大きくは変わらない
  3. 本当の価値は「自分仕様」:甘さ・濃さ・塩分を自分で決められる。手間と衛生管理がデメリット
粉飴1kg=実勢約800〜1,350円/ポカリ粉末 約86〜112円/L(価格.com 2026年6月閲覧)/ポカリ500ml=税込定価184円(2024.11改定)

「市販を買い続けるのは、ちょっともったいない」。自作を考えるきっかけは、たいていここから始まる。実際どれくらい得なのか、まず冷静に見てみよう。

コスパの本当のところ

粉飴(マルトデキストリン)は1kgあたりおよそ800〜1,350円が目安だ(2026年6月時点・容量やセールで変動する)。一方、ペットボトルのスポーツドリンクは500mlで税込184円ほど、1Lに換算すると約370円になる。粉飴ベースの自作なら、ペットボトルを買い続けるより明らかに安くつく。

ただし注意したいのが、市販の「粉末タイプ」との比較だ。ポカリスエットやアクエリアスの粉末は、電解質まで含めて1Lあたり約90〜110円ほど。糖質源だけを買う自作と、価格はそれほど変わらない。「自作は市販より必ず安い」とは言い切れない──得が大きいのはあくまでペットボトル比、と理解しておきたい。

自作の本当の強みは「自分仕様」

コスト以上に大きいのが、中身を自分で決められることだ。市販品は甘さも濃さも固定だが、自作なら「今日は薄めでさっぱり」「夏は塩を足す」と自由に調整できる。甘さが控えめな粉飴を使えば、エネルギーを確保しつつ甘ったるさを抑えられる。

デメリットも正直に

もちろん手間はかかる。計量が必要で、市販のように電解質が最初から入っているわけでもない。さらに保存料がないぶん、衛生管理にも気をつかう(詳しくは最後の章で)。この手間を「自分仕様の自由」と取れるかどうかが、自作に向くかの分かれ目だ。

では、その自作の主役になる「粉飴」。なぜ砂糖やはちみつではなく、わざわざ粉飴を選ぶ人が多いのか。

なぜ砂糖でなく粉飴(マルトデキストリン)なのか

砂糖と粉飴(マルトデキストリン)の甘さとエネルギー補給の比較図
結論 · 数値で見る2026.06 更新 · Vist & Maughan 1995 ほか

なぜ砂糖ではなく粉飴(マルトデキストリン)を使うの?

粉飴はブドウ糖が多数つながった大きな分子で、同じ重さでも溶液中の粒の数が少なく浸透圧が低い。ただしVist & Maughan(1995)は「胃の通りやすさは浸透圧より糖質の量で決まる」とし、低浸透圧の利点が活きるのは濃いめに摂る場面に限られる。甘さは砂糖よりかなり控えめで、大量でも飲みやすい。

浸透圧
ブドウ糖液より低い粒が少ない
分子が大きいため。差が活きるのは濃いめの場面(Vist&Maughan 1995)
血糖の上がりやすさ
GI 約85〜110高め
運動中の素早い補給に向く(製品で幅)
甘さ
砂糖よりかなり控えめ飲みやすい
たくさん溶かしても甘ったるくなりにくい
カロリー
4kcal/g砂糖と同じ
粉飴だから太るわけではない
Vist GE & Maughan RJ (1995) J Physiol(PMID 7473216)は『胃の通りやすさは浸透圧より糖質量で決まる』と報告/GI値は各種血糖指数データベース集約・砂糖=約65

自作スポドリの主役は糖質だ。砂糖でもはちみつでも作れるのに、競技者の多くが粉飴(マルトデキストリン)を選ぶのには理由がある。

マルトデキストリンってそもそも何?

マルトデキストリンは、とうもろこし・じゃがいも・米などのでんぷんを部分的に分解して作る糖質だ。アメリカのFDA(食品医薬品局)では「GRAS(一般に安全と認められる)」物質として扱われている、ごくありふれた食品素材でもある。日本では「粉飴」の名前で、もともと医療現場の栄養補給用として40年以上使われてきた(粉飴そのものの選び方やデメリットはこちらの完全ガイドで詳しく触れている)。

甘くないのにエネルギーは砂糖と同じ

粉飴の面白いところは、甘さが砂糖よりずっと控えめ(製品の表示で約8分の1ほど)なのに、エネルギーは1gあたり約4kcalと砂糖と同じ点だ。だから大量に溶かしても甘ったるくならず、運動中でも飲みやすい。「粉飴だから太る」と心配する人もいるが、カロリーは砂糖と同じで、太るかどうかは結局トータルの摂取量しだいだ。

「低浸透圧」は魔法ではない

粉飴はブドウ糖がいくつもつながった大きな分子のため、同じ濃さでも溶液中の粒の数が少なく、浸透圧が低くなる。浸透圧が低いと胃から腸へ送られるのがスムーズになりやすい、とよく言われる。

ただしこれは「低浸透圧なら必ず吸収が速い」という単純な話ではない。低〜中濃度では浸透圧の差はあまり影響せず、利点が活きるのは糖質を濃いめに摂る場面に限られる。粉飴を「最速の糖質」と神格化せず、「濃くしても飲みやすく、胃に優しい寄りの糖質」と捉えるのが正確だ。なお血糖を素早く上げる性質(GIという指標で、粉飴は製品によりおおむね85〜110と高め)は運動中には利点だが、運動と関係ない場面での摂りすぎや、血糖が気になる人は注意したい。

中身が分かれば、あとは作るだけ。多くの人がつまずく「濃度」と「ダマ」を片付けよう。

基本の黄金比レシピと、ダマにしない溶かし方

自作スポーツドリンクの黄金比レシピとダマにしない4つのコツの図解
結論 · 要点2026.06 更新 · ACSM 2007 / NATA 2017

自作スポーツドリンクの黄金比とダマにしないコツは?

黄金比の軸は糖質おおむね4〜8%(1Lに粉飴40〜80g)。これはACSM 4〜8%・NATA 3〜8%という公的な推奨に沿った範囲だ。暑い日や長時間運動では食塩0.1〜0.2%(1Lに1〜2g)を足す。クエン酸は酸味づけの脇役で、好みで少量に。ダマは「先に少量の水で溶く・ぬるま湯・よく振る」で防げる。

  1. 糖質はおおむね4〜8%:1Lなら粉飴40〜80gが目安(ACSM 4〜8%/NATA 3〜8%)。濃すぎは胃に重い
  2. 塩は0.1〜0.2%:暑い日や長時間は食塩1〜2g/L(ナトリウム100mlあたり40〜80mg)。汗で失う分を補う
  3. クエン酸は「味」役:酸味で飲みやすくする名脇役。好みで少量、入れ過ぎない
  4. ダマ対策:先に少量の水でペースト→薄める/ぬるま湯/よく振る。熱湯はNG
糖質濃度 ACSM 4〜8%(Sawka 2007・PMID 17277604)・NATA 3〜8%(McDermott 2017)/暑熱時の食塩0.1〜0.2%は日本スポーツ協会・環境省の熱中症ガイド

難しく考える必要はない。基本は「糖質」「塩」「酸味(クエン酸)」の3つを、目安の範囲で混ぜるだけだ。

黄金比は「糖質4〜8%+塩0.1〜0.2%」

運動中の飲料の糖質濃度は、米国スポーツ医学会(ACSM)が4〜8%、全米アスレティックトレーナー協会(NATA)が3〜8%を推奨している。1Lに対して粉飴40〜80g、と覚えておけば外さない。

塩(電解質)は、暑い日や1時間を超える運動で食塩0.1〜0.2%(1Lに1〜2g、ナトリウムにして100mlあたり40〜80mg)を足す。これは日本スポーツ協会や環境省の熱中症対策の目安とも一致する。涼しい日の短時間なら、塩なしでも構わない。

成分 量の目安(1Lあたり) 役割
粉飴(マルトデキストリン) 40〜80g(糖質4〜8%) エネルギー源
食塩 1〜2g(0.1〜0.2%)※暑い日・長時間 電解質・水分保持
クエン酸 好みで少量(ひとつまみ〜) 酸味・飲みやすさ

量はあくまで目安で、出典によって幅がある。濃すぎ・塩の入れ過ぎはかえって不快感のもとになるので、薄めから始めて調整するのが安全だ。

クエン酸は「味」のための名脇役

クエン酸はレモンのような酸味をつけ、飲みやすくする役割だ。あくまで味付けが主目的なので、好みで少量から入れればいい。入れなくても、糖質と塩があればスポドリとして機能する。ただし酸は歯のエナメル質に関わるので、入れ過ぎには注意したい(最後の章で詳しく)。

ダマにしない4つのコツ

粉飴がダマになるのは、粉の表面が先に水を吸ってゲルの膜を作り、内側の乾いた粉を包んでしまうからだ。これを防ぐコツは4つ。

  • 先に少量の水で溶いてペースト状にしてから、残りの水で薄める
  • 粉を一気に入れず、少しずつ加える
  • 冷水よりぬるま湯を使う(熱湯は逆効果になりやすい)
  • シェイカーなどでよく振る・しっかり混ぜる
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マイプロテイン マルトデキストリン

無味で混ぜやすく、自作スポドリの糖質ベースに使える純度の高い粉飴。

私はこのマルトデキストリンの水溶液を、ほぼ自分で作って練習で飲んでいます。粉から作れるので、自分の濃さに調整できます。

  • コスパ最上位クラス
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ただし、この黄金比は「いつでも同じ」ではない。目的によって、入れる中身は変わってくる。

目的別アレンジ ── 練習・レース・夏・減量で中身を変える

運動時間と目的別に糖質量を変える自作スポーツドリンクのアレンジ早見図
結論 · 時間軸2026.06 更新 · Jeukendrup 2014 / ACSM 2007

練習・レース・夏・減量で自作スポドリの中身はどう変える?

自作の中身は目的で正反対になる。60分未満の軽い運動や減量期は水で十分。1〜2時間で約30g/時、2〜3時間で約60g/時の糖質が目安だ(粉飴のような単一の糖はここが上限)。2.5〜3時間を超えるレースでは、ブドウ糖と果糖を混ぜると約90g/時まで補える(Jeukendrup 2014)。暑い日は時間に関わらず塩も一緒に。

運動時間別の糖質量は Jeukendrup AE (2014) Sports Med(PMID 24791914)・単一糖は約60g/時が上限/60分未満は水で十分(Sawka 2007・PMID 17277604)

ここがこの記事で一番伝えたいところだ。同じ自作スポドリでも、目的によって正解が正反対になる。短時間や減量では薄く、長時間のレースではしっかり、暑い日は塩を足す──万能の「最強レシピ」は存在しない。順に見ていこう。

運動時間で「入れる量」が変わる

糖質をどれだけ入れるかは、運動時間で決まる。60分未満の軽い運動なら、糖質飲料と水でパフォーマンスの差はほとんどないとされる。1〜2時間なら約30g/時、2〜3時間なら約60g/時が目安だ。

注意したいのは、粉飴のような1種類の糖質を体が運動中に使える量は、約60g/時が上限という点。腸で糖を運ぶ入口(トランスポーター)が飽和するためで、それ以上は入れても無駄になりやすい。

レース・長時間は「ブドウ糖+果糖」

2.5〜3時間を超えるような長時間のレースでは、粉飴だけでは足りなくなる。そこでブドウ糖に果糖を混ぜると、別の入口から吸収されて上乗せでき、約90g/時まで補えるようになる(Jeukendrup 2014)。マラソンやロングライドで「粉飴に少し果糖系を足す」のが理にかなうのはこのためだ。

かつては「ブドウ糖2:果糖1」がよく言われたが、近年は摂取量によって最適な比率が変わるとの研究が増えており、唯一の正解は定まっていない。また、この上乗せが意味を持つのはあくまで長時間運動の話で、短時間の運動でわざわざ混ぜる必要はない。「誰でも90g/時を燃やせる」わけでもなく、量は個人差や腸の慣れに左右される。

暑い日は「塩」も一緒に

暑熱下では、水分だけでなく塩分も同時に補うのが基本だ。食塩0.1〜0.2%を足しておく。ただし「塩をたくさん摂れば熱中症や低ナトリウム血症を確実に防げる」わけではない。運動中に血液が薄まる低ナトリウム血症の主な原因は水の飲みすぎで、塩分だけで防げるものではない。喉の渇きに応じて飲むのが基本になる。

減量期は「水でいい日」もある

減量中に余計な糖質を摂りたくないなら、短時間・軽めの運動は水で十分だ。どうしても口寂しいときは、糖質を含んだ飲料を口に含んで吐き出す「マウスリンス」という手もある(飲み込まないのでカロリーはほぼゼロ)。60分前後の中〜高強度ではわずかに効果があるとの報告がある(事前に食事をとっている条件で効果が大きいとされる)。ただし効果は小さめで、あくまで補助だ。逆に、長時間・高強度で糖質を完全に抜くと、失うものは大きい。

自作が万能ではないことも、はっきりさせておこう。市販のスポドリや経口補水液との「役割分担」を知っておきたい。

市販スポドリ・経口補水液との使い分け

スポーツドリンク・経口補水液・水の役割別の使い分け図
結論 · 要点2026.06 更新 · ACSM 2007 / de Oliveira 2014

自作・市販スポドリ・経口補水液はどう使い分ける?

飲み物は役割で分けるのが正解だ。スポーツドリンク(自作含む)は運動中向けで糖質4〜8%・適度な塩分。経口補水液は脱水を治す向けで糖質は低くナトリウムが多い。短時間なら水で十分。糖質は濃ければよいわけではなく、8%を超えると胃排出が遅れて不快感が出やすくなる(de Oliveira 2014)。

  1. スポーツドリンク(自作含む):運動中向け。糖質4〜8%・適度な塩分。日常〜長時間の補給に
  2. 経口補水液(ORS):脱水を治す向け。糖質は低めでナトリウムは多め。発熱・下痢・熱中症初期に。日常常用はしない
  3. :短時間・低強度ならこれで十分
  4. 濃ければいいではない:糖質8%を超えると胃に重くなりやすい
糖質濃度 ACSM 4〜8%・NATA 3〜8%(PMID 17277604)/8%超で胃排出が遅れ消化器の不快感が増えうる(de Oliveira & Burini 2014・PMID 25314645)

「自作スポドリがあれば全部まかなえる」と思いがちだが、飲み物には役割がある。混同すると、かえって逆効果になることもある。

スポドリ・経口補水液・水の役割分担

市販のスポーツドリンクと自作スポドリは、どちらも「運動中の補給」が役割で、糖質4〜8%に適度な塩分という設計だ。一方、経口補水液(ORS)は糖質を低めに抑え、ナトリウムを多めにした「脱水を治すための飲み物」。発熱・下痢・嘔吐や熱中症の初期に向くもので、日常的に大量に飲むものではない。どちらが優れているという話ではなく、用途が違う。

「濃ければいい」ではない(8%の壁)

早くエネルギーを入れたいからと濃くしすぎるのは、逆効果になりやすい。糖質がおおむね8%を超えると、水と比べて胃から腸へ送られるのが遅くなり、お腹の不快感につながりやすいとの報告がある。ただし「8%超は必ずダメ」ではなく、ブドウ糖+果糖のように複数の糖を混ぜた場合は、もう少し濃くても許容されやすい。

水だけだと「自発的脱水」

逆に、汗を大量にかいたときに水だけをがぶ飲みすると、血液中の塩分が薄まって喉の渇きが早く治まり、必要な量を飲みきれないことがある(自発的脱水)。だから汗を多くかく場面では、塩分も一緒に摂るのが理にかなう。

最後に、自作だからこそ気をつけたい落とし穴を押さえておこう。

よくある失敗と注意点 ── 飲み過ぎ・虫歯・保存

自作スポーツドリンクの注意点(歯・飲み過ぎ・保存)の図解
結論 · 数値で見る2026.06 更新 · 日本小児歯科学会 2020 / 宇都宮市衛生環境試験所 2024

自作スポドリで気をつけることは?(虫歯・飲み過ぎ・保存)

自作で気をつけたいのは歯・飲み過ぎ・保存の3つ。スポーツドリンクはpHがおおむね3〜4台(製品によっては2台まで下がる)の酸性で、歯が溶け始める臨界pH(約5.5)を下回る。ただし「飲めば必ず虫歯」ではない。糖を含む自作ドリンクは中性で菌が増えやすく、直飲みで放置した飲料は30℃・24時間で菌が桁違いに増えた報告もある(宇都宮市2024)。

飲料のpH
おおむね3〜4台酸性
製品で幅・臨界pH約5.5を下回り酸蝕の一因に
酸性飲食の直後の歯磨き
約1時間あける
すぐ磨くと削れやすい(ADA)
直飲み放置の菌
直後 約1千→24h 約1千万/mL急増
甘く中性の自作は要注意(30℃・宇都宮市2024)
スポドリpH おおむね3〜4台・製品で2台まで幅(Milosevic 1997実測 2.38〜4.46・PMID 9132205)/歯が溶け始める臨界pH 約5.5(日本小児歯科学会2020)/直飲み放置の菌増殖は宇都宮市衛生環境試験所2024(30℃)

自作は自由なぶん、市販品にはない注意点もある。怖がる必要はないが、知っておくと安心だ。

「歯が溶ける」の本当のところ

スポーツドリンクはpHがおおむね3〜4台(製品によっては2台まで下がるものもある)の酸性で、歯のエナメル質が溶け始める臨界pH(約5.5)を下回る。そのため、酸蝕(さんしょく)の原因になりうる。とはいえ「スポドリを飲めば必ず歯が溶ける・虫歯になる」わけではない。研究をまとめても、スポーツドリンク単独と歯の問題の関係ははっきりせず、飲み方や頻度、唾液の量など複合的な要因が関わる。

気をつけたいのは飲み方だ。だらだら・ちびちび口に含み続けると、酸が歯に触れる時間が延び、唾液が中和しきれなくなる。対策はシンプルで、口に長く溜めずに飲む、飲んだ後に水で口をすすぐ、そして酸性のものをとった直後の歯磨きは約1時間あけること。クエン酸の入れ過ぎも酸を強めるので、控えめにしたい。

飲み過ぎ ── 糖も水も「多ければいい」ではない

濃い糖質を一気に飲むと、お腹が不快になりやすい。また、水分も摂りすぎは禁物だ。運動中に水をがぶ飲みしすぎると、血液中のナトリウムが薄まる「低ナトリウム血症」のリスクがある。これは塩分を足せば防げるものではなく、飲みすぎないことが基本になる。運動と関係なく日常的に甘い飲料を多飲すれば、体重増加や虫歯のリスクにもつながる。

作り置きの落とし穴

自作には保存料がない。糖分を含み中性に近い自作ドリンクは、菌にとって増えやすい環境だ。市販のスポーツドリンクが傷みにくいのは強い酸性(pH約3.5)だからで、自作はそうはいかない。

公的機関の検証では、糖やたんぱく質を含む飲料を直接口をつけて放置すると、30℃で飲んだ直後の約1,000個/mLから24時間後に約1,000万個/mLへと爆発的に増えた例がある。「何時間以内なら安全」という目安はない、というのが公的機関の見解だ。だから自作は、飲みきれる量を作る・分けるときは口をつけずコップに注ぐ・残ったら冷蔵して早めに飲みきる、を徹底したい。

覆面アスリートが落ち着いて語る
覆面アスリート

市販のスポドリは手軽だけれど、甘さも濃さも決まっている。中身さえ分かれば、その日の練習に合わせて自分で調整できる。難しく考えず、まずは薄めから試してみてほしい。補給は「正解探し」より「自分に合わせる」ほうが、うまくいくことが多い。

ここまでが自作スポドリとの付き合い方の全体像だ。最後に、要点を1枚にまとめておこう。

まとめ ── 「黄金比」より「目的で変える」

練習・レース・夏で配合を変える自作スポーツドリンクのまとめ早見表

自作スポーツドリンクは、粉飴・塩・クエン酸があれば作れる。市販より安くなるのはペットボトル比で、本当の価値は中身を自分仕様にできることだ。そして一番大切なのは、目的によって中身を変えることだ。

場面 中身の目安
短時間・軽め/減量 水で十分。濃くしない
1〜3時間の練習 糖質4〜8%(粉飴)+暑ければ塩0.1〜0.2%
2.5〜3時間超のレース ブドウ糖+果糖で糖質を上乗せ
暑い日 時間に関わらず塩(食塩0.1〜0.2%)を一緒に

「最強の黄金比」を探すより、その日の練習に合わせて薄くも濃くもできること。それが自作の一番の強みだ。

自作スポーツドリンクを使いこなし達成感を見せる岸くんのイラスト

※本記事は一般的な参考情報です。低ナトリウム血症や熱中症、歯の健康など体調に不安がある場合は、医師・歯科医など専門家にご相談ください。

覆面アスリートが読者に問いかける
覆面アスリート

私は運動中は「甘すぎないこと」を優先する派。粉飴ベースだと、そこを自分で調整できるのがいい。あなたが自作で重視するのは ①コスパ / ②飲みやすさ、どっち派? よかったらコメントで教えてください。

よくある質問

Q. 粉飴の代わりに砂糖やはちみつでも作れますか?

A. 作れます。ただし砂糖は甘さが強く、濃くすると飲みにくくなりがちです。はちみつは溶けやすい一方で量の調整がしにくい面があります。粉飴は甘さが控えめ(製品の表示で砂糖の約8分の1ほど)で、たくさん溶かしても甘ったるくなりにくいため、運動中の補給に向いています。好みで使い分けてください。

Q. クエン酸はどのくらい入れればいいですか?

A. 味付けが主目的なので「好みで少量から」で構いません。入れなくても、糖質と塩があればスポーツドリンクとして機能します。酸は歯のエナメル質に関わるため、入れ過ぎは避け、飲んだ後に水で口をすすぐと安心です。

Q. 粉飴でジェル(エナジージェル)も自作できますか?

A. 少ない水で粉飴を濃く溶けば、携行用のジェル風にできます。ただし高濃度は胃に負担が出やすいので、いきなりレース本番で使わず、必ず練習で試してから取り入れてください。

Q. 中学生・高校生の部活でも同じ濃度でいいですか?

A. 基本の考え方は同じですが、量や濃度は体格・気温に合わせて調整してください。糖分の多い飲料を運動以外でも常用すると虫歯・酸蝕のリスクになるため、ふだんの水分は水やお茶を基本にし、運動時の補給として使うのがおすすめです。

Q. 減量中なので人工甘味料でカロリーゼロにしてもいいですか?

A. 減量目的なら選択肢の一つですが、WHO(世界保健機関)は体重管理を目的とした非糖甘味料の常用を推奨していません。また、運動中のエネルギー補給が目的なら、糖質を完全に抜くと長時間・高強度では失うものがあります。短時間・軽めなら水で十分、と割り切るのも手です。

参考文献・出典

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  3. Jeukendrup AE. (2014) Carbohydrate Intake During Exercise. Sports Med. 単一糖約60g/時・ブドウ糖+果糖で約90g/時。PubMed PMID 24791914
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