クエン酸を飲むのは前でも後でもいい。41名を4条件で比べた試験で条件間の差はなかった カラダ
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AI協業 本記事は覆面アスリート本人の体験・意見・判断をベースに、AIアシスタント(Claude)の支援を受けて構成・編集しています。
覆面アスリートがお辞儀をしているイラスト
10秒でわかるこの記事の内容

連戦2日目に脚が重いのに、練習直後は喉を通らない。そんなアスリート向けです。クエン酸の酸味はその一杯を通し、続けて入ったおにぎりが翌日の脚を軽くします。

✅ 本記事で得られること

  • 練習直後に何も入らない日が消え、補給が2時間先へずれ込まなくなる
  • 飲む時刻を守る段取りが1つ減り、そのぶんを片付けと移動に回せる
  • 自分の体重で「おにぎり何個ぶん」が出るので、練習後に何を買うか迷わなくなる
  • クエン酸に何を期待して払うのかが決まり、効かない期待にお金を使わずに済む

👤 こんな方におすすめ

  • 連戦や二部練習の2日目に、アップの時点で脚が重い方
  • 練習後にクエン酸のドリンクは飲んでいるのに、翌日が変わらない方
  • 練習直後は食欲がなく、食べられるようになるまで時間がかかる方
七海が考えながら質問する
七海

連戦の2日目、アップの時点でもう脚が重いんです。前日の練習後にクエン酸は飲んでいるのに、何も変わりません。

覆面アスリートが共感の笑顔
覆面アスリート

飲む物が足りていないのではなく、練習直後に何も入っていないのだと思います。クエン酸が効くのは、まさにそこです。

七海が真剣な表情で問い返す
七海

ごはんは食べています。ただ、練習直後は食欲がなくて、家に帰ってからになってしまいます。

覆面アスリートが本文へ誘導
覆面アスリート

そこが分かれ目です。補給が2時間ずれると戻りは45%落ちます。酸味のある一杯なら直後でも通るので、そこから見ていきましょう。

連戦2日目に脚が重いのは、筋グリコーゲンが戻りきっていないから

結論 · 要点2026.09 更新 · Ivy 1988 / ISSN 2017

連戦の2日目に脚が重いのはなぜか?

連戦2日目の重さの正体は、筋肉に蓄えた糖(筋グリコーゲン)が前日ぶん戻りきっていないことです。手を打てるのは練習が終わった直後で、クエン酸はその直後に、喉を通らない一杯を通す役として使います。

  1. 正体:筋肉に蓄えた糖(筋グリコーゲン)が前日ぶん戻りきっていない
  2. 手を打てる時間:練習が終わった直後(2時間遅らせると貯蔵速度が45%遅い)
  3. クエン酸の出番:その直後に、喉を通らない一杯を通すこと
Ivy et al. (1988) J Appl Physiol 64(4) / Kerksick et al. (2017) J Int Soc Sports Nutr 14:33

連戦の2日目、アップを始めた時点でもう脚が重い。前日にちゃんとクエン酸を飲んで、ストレッチもして寝たのに、体が前日の続きから始まらない。この感覚には、はっきりした中身があります。

筋肉に蓄えられる糖の量は、思っているより小さい

筋肉が使う燃料の貯蔵は、1回のハードな練習で目に見えて減る程度の大きさしかありません。

体は糖を「グリコーゲン」という形で筋肉と肝臓に蓄えています。脂肪と違って蓄えられる量に限りがあり、長時間の練習や高強度を繰り返す競技では、その日のうちにかなりの割合を使い切ります。1日に練習や試合が複数回行われる場面では、この貯蔵が回を追うごとに減っていき、パフォーマンスと練習の質が落ちていくと考えられています。

「疲れが抜けない」と「燃料が戻っていない」は別の話

脚の重さには、筋肉そのもののダメージによるものと、燃料が戻っていないことによるものの2種類があります。

前者は時間と睡眠が要ります。飲み物で短縮できるものではありません。一方、後者はその日の補給の組み立てで変えられる部分です。同じ「翌日が重い」でも、手を打てる余地があるのは後者のほうで、この記事はそこだけを扱います。

脚の重さを全部まとめて「疲労」と呼んでいる限り、打てる手は見つかりません。分けたうちの「燃料」のほうは、練習が終わった直後の過ごし方で変わります。

では、その直後に何をするのか。まず、多くの人が気にする場所が1つずれています。

では、その直後に何をするのか。多くの人がつまずくのは、量でも時刻でもありません。そもそも口に入らない、という壁のほうです。

クエン酸の酸味は、練習直後に喉を通らない一杯を通す

結論 · 時間軸2026.09 更新 · ISSN 2017 ほか

練習直後に何も口へ入らない日は、どうすればいいのか?

固形物が入らない日は、順番を「飲む→食べる」に変えます。酸味のある薄い飲み物は疲れた直後でも通り、口がリセットされると、そのあとの固形物も入りやすくなります。結果として、補給が2時間先へずれ込むのを防げます。

Kerksick et al. (2017) J Int Soc Sports Nutr 14:33

食欲が戻るのを待つと2時間が過ぎます。固形物が入らない日は、順番を「飲む→食べる」に変えるのが現実的です。

運動直後に食べられないのは、意志の弱さではない

ハードな練習の直後に食欲が落ちるのは、多くの選手が経験することです。おにぎりを持っていても、口に入れる気にならない。そのまま片付けをして、着替えて、移動して、家に着いてようやく食べる。この流れが、ちょうど2時間を作ります

ここで「気合いで食べろ」と言っても続きません。順番を変えたほうが早く済みます。液体は、固形物より先に入ります。

酸味があると、練習直後でも飲み切れる量が増える

クエン酸の仕事は、燃料を戻すことではなく、その燃料を口に入れやすくすることのほうにあります。

酸味は後味を軽くします。甘さだけの飲料は、長時間の練習の後半になるほど口に入れにくくなりますが、酸味があると同じ量でも飲み切りやすくなります。これは体の中で何かが起きるという話ではなく、飲める量が実際に増えるという実務の話です。そして練習直後は、その実務がそのまま翌日の脚を分けます。

クエン酸に払うお金で買えるのは、「何も入らない日」を減らすことです。食欲が戻るのを待って2時間を失う日が減れば、そのぶん翌日の脚は軽くなります。

先に1杯入ると、そのあとの固形物も入りやすくなる

口の中がさっぱりして、水分が少し入ると、それまで受け付けなかったおにぎりが食べられるようになることがあります。酸味はこの切り替えを助けます。飲む1杯は、それ自体が補給であると同時に、次の固形物を入れるための呼び水です

濃い飲み物は胃に残る。薄い設計のほうが入る

同じ液体でも、濃度が高いほど胃から出ていくのが遅くなり、運動直後の不快感につながります。

体液より濃い飲料は、胃に留まる時間が長くなります。逆に体液より薄く作られた飲料は水分が早く吸収され、揺れても気になりにくくなります。濃さの3段階と、練習・試合での使い分けは、経口補水液の記事で詳しく扱っています。

クエン酸は、飲む時刻を気にしなくていい

クエン酸を飲む時刻を前後どちらにずらしても、測定値に差はつきませんでした。

健康な男子学生41名を、①クエン酸を運動前 ②クエン酸を運動後 ③水を運動後 ④何も摂取しない、の4条件にランダムに割り付けて5分間のエルゴメーターを行った2024年の試験があります。結果は、血中乳酸の値も、その低下率も、4条件の間に有意な差はありませんでした4

つまり、クエン酸を飲む時刻を守るために練習の段取りを1つ増やす必要はありません。ここで悩んでいた時間は、そのまま別のところに使えます。

入る状態を作れたら、あとはそこに何をどれだけ入れるかです。

クエン酸で通した一杯に足す糖質は、体重1kgあたり0.6〜1.0g

結論 · 数値で見る2026.09 更新 · ISSN 2017 / Ivy 1988

練習直後にどれだけ糖質を足せばいいのか?

量は体重1kgあたり0.6〜1.0g、体重60kgならおにぎり1〜1.5個ぶんです。この補給を運動2時間後に回すと、回復最初の2時間の筋グリコーゲン貯蔵速度は45%遅くなりました。

1回あたりの量
0.6〜1.0g/kg体重
運動終了後30分以内
体重60kgの場合
36〜60g
おにぎりでおよそ1〜1.5個
2時間後に回した場合
45%遅い
回復最初の2時間の筋グリコーゲン貯蔵速度
Kerksick et al. (2017) J Int Soc Sports Nutr 14:33 / Ivy et al. (1988) J Appl Physiol 64(4)

自分の体重に当てはめると、量が具体的になる

国際スポーツ栄養学会は、運動終了後30分以内に体重1kgあたり0.6〜1.0gの糖質を摂取し、その後4〜6時間は2時間おきに繰り返す形を示しています2

数字を自分の体に当てはめると、練習後に何を持っていくべきかが決まります。おにぎり1個は米飯およそ100gぶんで、炭水化物にしておよそ37gです。

体重 1回あたりの糖質 おにぎり換算 バナナ換算
50kg30〜50g約1〜1.5個約1.5〜2.5本
60kg36〜60g約1〜1.5個約2〜3本
70kg42〜70g約1〜2個約2〜3.5本
80kg48〜80g約1〜2個約2.5〜4本

※ 炭水化物量は日本食品標準成分表の値をもとにした概算です(米飯100gあたり約37g、バナナ可食部100gあたり約22g)。

糖質は、2時間遅らせると貯蔵速度が45%落ちた

同じ量の糖質でも、運動直後に摂取した場合と2時間後に摂取した場合では、筋グリコーゲンの戻り方が明確に違いました。

男子サイクリスト12名に70分の自転車運動を行わせ、25%の糖質溶液を体重1kgあたり2g、運動直後または運動2時間後に摂取させた試験があります。2時間後に回した条件では、回復の最初の2時間の筋グリコーゲン貯蔵速度が45%遅いという結果でした1

この試験で注目すべきなのは、2時間後の条件でも血糖とインスリンは有意に高かったという点です1。材料は届いていたのに、受け取り側の速度が落ちていた。時間を空けること自体が損だった、ということになります。

「運動後30分以内」という言い方について。国際スポーツ栄養学会のガイドラインにも30分以内という記述がありますが2、国内の研究者は30分目までに摂取することが望ましいとする科学的根拠は明確に示されていないと指摘しています3。ヒトで比較されているのは直後と2時間後だけです。秒単位で急ぐ話ではなく、着替えと移動で2時間を潰さない、という線として受け取ってください。

糖質が足りない日は、アミノ酸を足すと補える

糖質の摂取量が1時間あたり体重1kgあたり1.2gに届かないとき、タンパク質を一緒に摂取するとグリコーゲンの回復が高まると報告されています2

これは現場では重要な条件です。理想量の糖質を毎回きっちり入れられる日ばかりではありません。遠征先で、練習が押して、コンビニに寄る時間もない。そういう足りていない日にこそ、タンパク質側を一緒に入れておく意味が出てきます

逆に、糖質が十分に足りている場合、タンパク質を追加してもグリコーゲンの回復に上乗せはほとんど無いとされています2。足せば足すほどよくなる、という話ではありません。

糖質を理想量まで入れられた日は、それで完結します。入れられなかった日の保険として、アミノ酸が一緒に入っているものを1つ持っておく。これが現実的な組み方です。

この考え方で組むと、練習後に持っていくものは自然に決まります。

運動直後は、クエン酸入りの1本と、おにぎり1〜2個で組む

結論 · 要点2026.09 更新 · ISSN 2017 ほか

運動直後に何を持っていけばいいのか?

運動直後は、先に飲めるものを1本、そのあとでおにぎり1〜2個という順番で組みます。糖質の主役はあくまで食品の側で、飲む側には配合量が数字で出ていること・個包装であること・体液より薄い設計であることの3つを求めます。

  1. 順番:先に飲めるもの、そのあとで固形物
  2. 糖質の主役:おにぎり・バナナ・パンなど食品の側
  3. 飲む側に求める条件:配合量が数字で出ている・個包装・体液より薄い設計
Kerksick et al. (2017) J Int Soc Sports Nutr 14:33 / メーカー表示

飲む側を選ぶ基準は3つ

配合量が数字で書いてあること、個包装であること、体液より薄い設計であること。この3つで絞れます。

  • 配合量が数字で公表されているか ── 「クエン酸配合」とだけ書かれた製品は、何mg入っているかが分かりません。比べるには数字が要ります。
  • 個包装か ── 粉末は湿気を吸います。遠征や部活のバッグに入れて持ち運ぶなら、1回分ずつ包装されている形のほうが扱いやすくなります。
  • 体液より薄い設計か ── 疲れた直後の胃に入れるものなので、濃いほど不利になります。

アミノ酸が一緒に入っていると、足りない日の保険になる

糖質を理想量まで入れられない日があるなら、アミノ酸が同じ1本に入っている形は、用意する手間が少なくて済みます。ただし先ほどの報告が調べたのはタンパク質を足した場合で、分岐鎖アミノ酸(BCAA)だけで同じ結果になるかまでは確かめられていません。

1時間あたり体重1kgあたり1.2gの糖質に届かないとき、タンパク質を一緒に摂取するとグリコーゲンの回復が高まる2──この条件は、遠征や連戦のようにきっちり食べきれない日ほど当てはまります。飲む1本の側にアミノ酸が入っていれば、その日ごとに別途用意しなくて済みます。

では、この3つの条件と、アミノ酸の同梱を全部満たす製品はどれか。

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🥤 練習直後、固形物より先に入る1本

江崎グリコ パワープロダクション エキストラハイポトニックドリンク クエン酸&BCAA グレープフルーツ味 12.4g×10本

1本(12.4g)を500mlの水に溶かす粉末。メーカー表示でクエン酸5,000mg・分岐鎖アミノ酸(BCAA)4,000mg、7種類のビタミンB群とビタミンCを配合。体液より薄く作られた設計です。

  • クエン酸とアミノ酸の配合量が数字で公表されている(比べられる)
  • 1回分ずつの個包装で、遠征バッグに入れて湿気を気にせず持ち運べる
  • 体液より薄い設計で、疲れた直後の胃にも残りにくい
  • 酸味があるぶん、練習直後でも飲み切りやすい
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12.4g×10本(1本を500mlの水に溶かす)

1点だけ、はっきりさせておくこと

この製品は糖質源ではありません。単体で運動後の補給が完結する物ではないことは、先に書いておきます。

1本12.4gのうち、クエン酸5,000mgと分岐鎖アミノ酸(BCAA)4,000mgで9gを占めます。残りに香料・甘味料・ビタミン類も含まれるため、糖質はごくわずかです。この記事で見てきた体重1kgあたり0.6〜1.0gという量は、この1本ではまったく足りません。

だからこそ、組み方はこうなります。

順番 やること 担う役割
① 練習終了直後粉末1本を500mlに溶かして飲む水分・アミノ酸・口のリセット
② 続けておにぎり1〜2個、またはバナナ2〜3本筋グリコーゲンを戻す本体
③ 2時間後食事、または同量の糖質をもう一度4〜6時間の繰り返しぶん

飲む1本だけを買っても、翌日は変わりません。おにぎりとセットにして初めて意味を持ちます。逆に、おにぎりが入らないまま2時間過ぎるくらいなら、先に1本を入れて食べられる状態を作るほうが確実です。

クエン酸に任せられないのは、燃料を戻す仕事と、乳酸を流す仕事

クエン酸に期待していいのは、ここまでで見た「入れる」働きまでです。この先の2つは、糖質と体そのものの仕事になります。

糖質にクエン酸を足したラットは、肝臓と筋肉のグリコーゲンが速く戻った ── ヒトで確かめた試験はまだない

動物実験では、糖質にクエン酸を足すと、糖質だけのときより肝臓と筋肉のグリコーゲンの戻りが速まりました。ヒトで同じ結果を確かめた試験は、まだありません。

疲労困憊まで走らせた、または泳がせたラットに、体重1kgあたりクエン酸0.5gとグルコース3.0gを一緒に与えると、グルコース3.3gだけを与えた場合と比べて、回復2時間の肝臓とヒラメ筋のグリコーゲン蓄積が有意に多かった、という1983年の報告があります5。クエン酸だけを与えた場合は肝臓では戻りが速まっても筋肉では差がなく、糖質と一緒のときにだけ筋肉側にも差が出ています。

2001年にも、泳ぎ疲れさせたラットで同じ組み合わせが調べられました。グルコースとクエン酸を一緒に与えた群では、肝臓・ふくらはぎの腓腹筋・ヒラメ筋の3か所すべてで、運動直後よりグリコーゲンが増えていました6。ただし1群4匹の小さな実験で、著者らは酢酸でもクエン酸とほぼ同じ効果が出たと報告しています。

ヒトで運動後の筋グリコーゲン合成が速まったと報告されているものもありますが、そこで使われたのはヒドロキシクエン酸という、ガルシニアという植物に由来する別の物質です7。名前は似ていますが、クエン酸ではありません。市販のクエン酸製品にも入っていません。

つまり、クエン酸入りの1本とおにぎりを組む形は、動物実験の結果とも矛盾しません。ただし筋グリコーゲンを戻す主役は糖質の量とタイミングで、クエン酸はそれを補う側です。

乳酸は流す相手ではなく、使い直される燃料

運動後に溜まる乳酸は疲労の原因物質ではなく、心臓や骨格筋でエネルギー源として使い直されます。

「クエン酸が乳酸を流してくれる」という説明は今も広く出回っています。ただ、先ほどの41名の試験では、水だけを飲んだ条件でも何も摂取しなかった条件でも、乳酸は同じように下がっていきました4乳酸が下がるのは、飲まなくても起きることです

ここまでで、何をいつどれだけ摂取するかは決まりました。残りは、続けるうえで守っておく2点です。

クエン酸は歯のエナメル質を溶かすので、水うがいと飲み方で防ぐ

結論 · 数値で見る2026.09 更新 · ADA

クエン酸で歯が溶けるのを防ぐにはどうすればいいか?

クエン酸で歯を守るには、だらだら飲まないことと、飲んだ直後に水で口をゆすぐことの2つが効きます。エナメル質はpH5.5から溶け始めるため、口の中が酸性である時間を短くするのが要点です。

溶け始めるpH
5.5
エナメル質が溶け始める境目
最優先の対策
水でうがい
飲んだ直後に口をゆすぐ
やめること
だらだら飲み
口の中が酸性の時間を延ばす
American Dental Association — Dental Erosion

エナメル質はpH5.5から溶け始める

歯の表面のエナメル質は、口の中がpH5.5を下回ると溶け始めます。

クエン酸の飲み物はこの値を下回ります。1回飲んだだけで穴が空くという話ではありませんが、毎日続ける習慣として何年も繰り返す場合は別です9。長く続ける前提のものだからこそ、飲み方の側で対処しておく価値があります。

一番効くのは、だらだら飲まないこと

同じ量でも、少しずつ長時間かけて飲むほど、口の中が酸性である時間が延びます。

500mlのボトルを2時間かけて少しずつ口に含む飲み方は、歯にとっては最も不利です。運動直後の補給として飲む場合は、短い時間で飲み切るほうが歯には有利になります。この記事の組み方は、その点でも都合がよくなっています。

飲んだら水で口をゆすぐ

酸性の飲食のあとは、歯を磨く前に水で口をゆすぐことが勧められています9

練習後の1本を飲み切ったら、真水を一口含んですすぐ。それだけで口の中の酸性が薄まります。真水のボトルを1本余分に持つことが、そのまま対策になります

なお、飲んでから歯磨きまで何分待つべきかについては見解が割れています。待つべきという推奨がある一方で、その程度の時間では足りないとする見解も出ています。確実なのは、水でゆすぐこととだらだら飲まないことの2つです

クエン酸でお腹を下すのは量と濃度が原因なので、薄めれば防げる

結論 · 要点2026.09 更新 · ISSN 2021 ほか

クエン酸でお腹を下すのはなぜか、どう防ぐか?

クエン酸でお腹を下すのは、濃い液が腸に水を引き込むためです。表示より少し多めの水で薄めることと、一度に飲まず分けることの2つで下がります。

  1. 原因:濃い液が腸に水を引き込む
  2. 対処:表示より少し多めの水で薄める・一度に飲まず分ける
  3. 別枠:クエン酸ナトリウムを体重1kgあたり0.5g摂取する時は、摂取から60〜90分後に症状が出やすい
International Society of Sports Nutrition position stand (2021) J Int Soc Sports Nutr

濃い液を一度に飲むと、腸へ水が引き込まれる

濃度の高い液体が腸に入ると、体の側から水が引き込まれ、下痢や腹痛につながります。

粉末を規定量より濃く溶かしたり、少ない水で一気に飲んだりすると起きやすくなります。成分そのものが合わないのではなく、濃さと量の問題であることがほとんどです

薄める・分ける、の2つで下がる

表示より少し多めの水で溶かし、一度に飲まずに分けて飲む。この2つで大半は解決します。

腹がゆるくなるかは、濃さと飲み方で決まる 同じ1本でも、溶かす水の量と飲み方で腸に入る水の量が変わります 濃いまま・一度に飲む 溶けている粒子が多い 腸の壁を通して 水が腸の中へ引き寄せられる 便がゆるくなる 少し多めの水で・分けて飲む 溶けている粒子が薄まる 腸へ引き寄せられる 水の量が減る 腹の負担が下がる 酸味が強すぎて飲みづらい場合も、水を増やせば同時に解決します クエン酸ナトリウムを大量に摂取する場面だけは、薄めても症状が出ます アスリートRPG │ marin-oceanlife.com 腹がゆるくなるかは 濃さと飲み方で決まる 濃いまま・一度に飲む 溶けている粒子が多い 腸の壁を通して水が 腸の中へ引き寄せられる 便がゆるくなる 少し多めの水で・分けて 溶けている粒子が薄まる 腸へ引き寄せられる 水の量が減る 腹の負担が下がる 酸味が強すぎる場合も、水を増やせば解決します アスリートRPG

1本を500mlで溶かす指定なら、腹が弱い自覚がある方は600mlにしても構いません。味は薄くなりますが、飲めなくなるよりは確実です。運動中に飲む場合も、一度に飲み干さず数回に分けるほうが胃に残りにくくなります。

クエン酸ナトリウムを大量に摂取する場面だけは別枠

高強度運動の緩衝を狙ってクエン酸ナトリウムを体重1kgあたり0.5g摂取する使い方は、日常の飲み方とは別に考えてください。

この用量では吐き気や腹痛が用量に応じて起き、摂取から60〜90分後にピークが来ます8。運動の3時間以上前に摂取する手順が推奨されているのは、この症状の山を運動前にやり過ごすためでもあります。日常のクエン酸の飲み方とは別の話として扱ってください。

クエン酸とクエン酸塩は別物なので、買う前に原材料表示で見分ける

「クエン酸」「クエン酸マグネシウム」「クエン酸ナトリウム」は、用途がそれぞれ違います。

  • そのままのクエン酸 ── 酸味づけと、水分を摂取しやすくすること。この記事で扱ってきたのはこれです。
  • クエン酸マグネシウムなどの塩 ── ミネラルを摂取する時の形の1つです。目的はクエン酸ではなくミネラルの側にあります。
  • クエン酸ナトリウム ── 高強度運動の緩衝を狙う専用の使い方で、体重1kgあたり0.5gを運動の3時間以上前に摂取する手順が示されています。ただし体感できる効果は不明確で、有意な改善を報告したのは全観察の25%にとどまります8

自分が買っているものがどれなのかは、原材料表示で分かります。「クエン酸」と「クエン酸Na」は並んで書かれていることも多いので、順番も含めて見てください

よくある質問

Q. 運動後30分以内に糖質を摂取しないと手遅れですか?

手遅れにはなりません。ヒトで実際に比べられているのは運動直後と2時間後で、2時間後に回した条件の貯蔵速度が45%遅いという結果です1。30分という数字そのものの根拠は明確に示されていないと指摘されています3。秒単位で急ぐ話ではなく、着替えと移動で2時間潰さないという話として受け取ってください。

Q. クエン酸のドリンクだけで運動後の補給になりますか?

なりません。クエン酸の粉末やドリンクには、筋グリコーゲンを戻すための糖質がほとんど入っていないためです。おにぎり・バナナ・パンなど糖質そのものと組み合わせて、はじめて補給として成立します。クエン酸側の仕事は、その糖質を口に通すことです。入らない日にこそ効きます。

Q. 練習後すぐは食欲がありません。無理にでも食べるべきですか?

無理に固形物から入る必要はありません。先に液体を入れると、そのあとで固形物が入りやすくなります。順番を「飲む→食べる」に変えるだけで、結果として2時間を空けずに済みます。食欲が戻るのを待って家で食べる、という流れが一番時間を失います。

Q. クエン酸は運動前と運動後のどちらに飲むべきですか?

クエン酸に限れば、どちらでも構いません。41名を4条件で比べた試験で、血中乳酸の値も低下率も条件間に有意差がありませんでした4。気にするのは糖質を入れる時刻のほうで、クエン酸は飲めるときに飲んで構いません。

Q. 毎日飲み続けても問題ありませんか?

食品として広く使われている成分なので、表示どおりの量なら続けること自体が問題になりにくいものです。続ける場合に効いてくるのは量より飲み方で、この記事で挙げた歯と胃腸の2点さえ守れば、実害は避けられます。逆に言えば、その2点を守らないまま何年も続けることが、唯一はっきりした損になります。

まとめ

この記事で押さえたこと

  • クエン酸の酸味は、練習直後に喉を通らない一杯を通す。先に1杯入ると、そのあとのおにぎりも入る
  • 飲む時刻は気にしなくていい。運動前・運動後・水・摂取なしの4条件で差が出なかった(41名)ので、段取りを1つ増やさずに済む
  • 通した一杯に足す糖質は、体重1kgあたり0.6〜1.0g。60kgならおにぎり1〜1.5個ぶん
  • その補給を2時間後に回すと、回復最初の2時間の貯蔵速度が45%遅くなった(ヒト・12名)
  • クエン酸に任せられないのは、燃料を戻す仕事と乳酸を流す仕事。そこは糖質と体そのものが担う
  • 続けるうえで守るのは、歯と胃腸の2点だけ

翌日の脚を軽くするのは、練習が終わってすぐに、何を口へ入れられたかです。そしてそこで一番よくある失敗は、量でも種類でもなく「食べられる状態になるまで待ってしまうこと」でした。クエン酸は、その待ち時間を消すために使います。

明日からできることは1つだけです。練習バッグに、おにぎりと、それを飲み下せるものを一緒に入れておく。食欲が戻るのを待つ時間を、そこで消します。

覆面アスリートが経験を語る
覆面アスリート

寒い時期の大会や練習で、太ももやふくらはぎがよく攣りました。効いたのは芍薬甘草湯で、ツムラの68として今も常備しています。

クエン酸で攣りが止まった経験は、私にはありません。あくまで個人の経験であり、万人に当てはまるものではありません。

覆面アスリートが読者へ問いかける
覆面アスリート

練習直後、あなたは ①すぐ食べられる / ②しばらく食べられない どちらですか? コメントで教えてください。

戦う君は、ひとりじゃない。アスリートRPG。

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参考文献・出典

出典リスト(8件)— タップで表示
  1. Ivy JL, Katz AL, Cutler CL, Sherman WM, Coyle EF. (1988) 「Muscle glycogen synthesis after exercise: effect of time of carbohydrate ingestion」 Journal of Applied Physiology 64(4):1480-1485 ─ 男子サイクリスト12名・70分の自転車運動後、25%糖質溶液を体重1kgあたり2g、運動直後または2時間後に摂取。2時間後の条件では回復最初の2時間の筋グリコーゲン貯蔵速度が45%遅かった。Journal of Applied Physiology
  2. Kerksick CM, et al. (2017) 「International Society of Sports Nutrition position stand: nutrient timing」 Journal of the International Society of Sports Nutrition 14:33 ─ 運動終了後30分以内に体重1kgあたり0.6〜1.0gの糖質、その後4〜6時間は2時間おき。糖質が1時間あたり体重1kgあたり1.2g未満のときタンパク質の追加がグリコーゲン回復を高める。PMC5596471
  3. 稲井真, 西村脩平, 浦島章吾, 野中雄大, 木村典代, 寺田新 (2017) 「糖質摂取のタイミングの違いが運動後の筋グリコーゲン回復率に及ぼす影響」 日本スポーツ栄養研究誌 10:48-57 ─ 「運動終了後30分目までに糖質を摂取することが望ましいとする科学的根拠はこれまでに明確に示されていない」と指摘。研究本体は雄性ICRマウスを対象とした実験。J-STAGE
  4. Okano S, Nakayama H, Nishizawa H. (2024) 「Effect of timing of citrate drink ingestion on blood lactate removal」 Journal of Physical Therapy Science 36(12):772-775 ─ 健康な男子学生41名・4条件(運動前/運動後/水/摂取なし)・5分間のエルゴメーター。血中乳酸値も低下率も条件間で有意差なし。PubMed PMID 39624347
  5. Saitoh S, Yoshitake Y, Suzuki M. (1983) 「Enhanced glycogen repletion in liver and skeletal muscle with citrate orally fed after exhaustive treadmill running and swimming」 Journal of Nutritional Science and Vitaminology 29(1):45-52 ─ ラットの実験。疲労困憊の走行・遊泳後に体重1kgあたりクエン酸0.5g+グルコース3.0gを与えると、グルコース3.3g単独より回復2時間の肝臓・ヒラメ筋グリコーゲン蓄積が有意に多かった。クエン酸単独では肝臓のみ。ヒトでの確認は含まない。PubMed PMID 6864348
  6. Nakao C, Yamada E, Fukaya M, Tayama K, Tsukamoto Y, Sato Y. (2001) 「Effect of acetate on glycogen replenishment in liver and skeletal muscles after exhaustive swimming in rats」 Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports 11(1):33-37 ─ ラットの実験(1群4匹)。疲労困憊の遊泳直後に水/グルコース/酢酸/クエン酸/グルコース+酢酸/グルコース+クエン酸を経口投与し2時間後に測定。グルコース+クエン酸群は肝臓・腓腹筋・ヒラメ筋の3か所で運動直後より高値。酢酸はクエン酸とほぼ同等の効果。ヒトでの確認は含まない。PubMed PMID 11169233
  7. 「Oral hydroxycitrate supplementation enhances glycogen synthesis in exercised human skeletal muscle」 British Journal of Nutrition ─ ヒトで筋グリコーゲン合成の促進を報告。対象はヒドロキシクエン酸(ガルシニア由来)であり、クエン酸ではない。British Journal of Nutrition
  8. 「International Society of Sports Nutrition position stand: sodium bicarbonate and exercise performance」 (2021) / 「Thirty years of investigation on the ergogenic effects of sodium citrate」 ─ 体重1kgあたり0.5gでのパフォーマンス効果は不明確(0.0±1.3%)、有意な改善の報告は全観察の25%。消化器症状は用量依存で摂取後60〜90分にピーク。PMC8427947
  9. American Dental Association 「Dental Erosion」 / 「Dietary Acids and Your Teeth」 ─ エナメル質が溶け始める臨界pH、酸性の飲食後は磨く前に水でゆすぐ推奨、待ち時間の見解の相違。ADA
本記事は健康に関する一般的な情報の提供を目的としたもので、診断・治療・予防を目的とした医学的助言ではありません。持病がある方、治療中の方、薬を服用している方は、摂取の前に医師または薬剤師にご相談ください。歯に痛みや知覚過敏がある場合は歯科医にご相談ください。

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