AI協業 本記事は覆面アスリート本人の体験・意見・判断をベースに、AIアシスタント(Claude)の支援を受けて構成・編集しています。
ロング走のたびに足にマメができて、距離を削っている方へ。繊維を替えても減るとは限りません。新兵357名の試験でマメが69%から40%へ下がったのは、厚い外側と薄い内側を重ねた組み合わせでした。厚みを替える・濡らさない・貼るの3つに絞れます。
✅ 本記事で得られること
- 「これならマメを防げる」と書かれた五本指や二重層を、根拠を確かめないまま買い足すことがなくなります
- 靴下を替えても減らなかった理由が分かり、次に替えるところが決まります
👤 こんな方におすすめ
- いま薄い靴下で走っていて、ランニング用に替えるか迷っている方
- 距離を伸ばし始めてから、足の指や母趾球にマメができるようになった方
- 靴下を替えてもマメが減らず、次に何を試せばいいか分からない方
距離を伸ばしてから、走るたびに足にマメができます。ランニング用のソックスに替えれば、減りますか?
ロードランナー76名を対象にした研究でも、いちばん多かったのがマメ。替える方向は間違っていない。ただ、靴下について確かめられていることは、思っているより狭い。
狭い…? 五本指にすれば防げると、どこにでも書いてありますけど。
その五本指は、2024年の総説が「効果は確かめられていない」と書いている。代わりに差が出たのは、生地の作りと、足が濡れていたかどうか。順に見ていこう。
マメが下がったのは靴下の作りを変えた試験で、繊維だけを替えた差は追試で消えた
ランニング用の靴下に替えると、マメは減りますか?
長距離ランナー35名の二重盲検で、構造が同じアクリル100%の靴下は、綿100%よりマメの数が少なく大きさも小さくなりました。ただし編み方を変えた27名の追試では差が消え、作りを変えた新兵357名の試験では69%から40%へ下がっています。
繊維だけを替えてマメが減ったと確かめた研究は、いまのところ1件です。長距離ランナー35名の二重盲検があります(Herring & Richie 1990)。編み方も厚みも同じで、繊維だけが違う2種類を比べています。片方はアクリル100%、もう片方は綿100%です。結果は、アクリル側のほうがマメの発生回数が少なく、1つあたりの大きさも小さいというものでした。
ここだけを読むと「化繊を買えばいい」で終わります。ところが同じ著者らが3年後に出した論文が、その読み方を止めます。
編み方を変えて比べ直すと、アクリルと綿の差は消えた
2回目は同じ比較を、パッドの薄い一般的な作りで行っています。参加者はランナー27名。結論は「一般的なクッションソールの編み方では、綿とアクリルのどちらの優位も示せなかった」でした[3]。
1990年の差は繊維だけで生まれたのではなく、その繊維が特定のパッド構造と組み合わさったときに出たものだった、ということになります。素材表示だけを見て「化繊なら減る」と決めることは、この2本からはできません。
11件を集めた系統的レビューの結論は「質の高い根拠は乏しい」
もう少し引いた資料もあります。806件から11件を選んだ系統的レビューです(Worthing 2017)。靴下5件・制汗剤3件・保護材3件の内訳で、効果の推定に中程度の確信を置けたのは11件中2件だけ。結論は「マメの予防について、靴下・制汗剤・保護材のいずれにも質の高い根拠は乏しい」でした[4]。
参加者も測り方も違いすぎて、数字をまとめる解析はできなかったとも書かれています。「効果がない」ではなく「判定できる材料がまだ揃っていない」という状態です。
作りを変えた新兵357名の試験では、マメが69%から40%へ下がった
繊維ではなく靴下の作りを変えた試験もあります。米海兵隊の新兵357名を3群に割り付けた研究です(Knapik 1996)。①標準の軍用ソックス。②標準ソックスに薄いポリエステルの内側ソックスを足したもの。③非常に厚く密な試作の外側ソックスに②と同じ内側を重ねたものです。
マメの発生率は、③が40%で、①の69%・②の77%より低くなりました(どちらもp<0.001)[13]。②は①より高く出ています。重ねれば減るのではなく、下がったのは③の組み合わせだけでした。
医療が必要になる重いマメと蜂窩織炎は、①24%に対して③11%・②9%で、②と③の差はありません。差が最もはっきり出たのは訓練の初期の週でした。これは軍のブーツでの試験で、ランニングシューズを履いた人を測ったものではありません。
靴下を買い替えても変わらなかったとしたら、それは選び方が下手だったからではありません。では、そもそもマメはどうやってできているのか。ここを見ると、靴下に何ができて何ができないのかの線が引けます。
マメは皮膚の表面がこすれてできるのではなく、表皮の中で同じ場所が何度もずれてできる
マメはどうやってできるのですか?
マメは皮膚の表面が削れるのではなく、表皮の中でずれ(せん断)が起きて細胞が壊れることで生じます。総説が予防の鍵に挙げているのは、ずれの回数を減らすこと、皮膚のそばに水分をためないこと、圧が集中する点をなくすことです。
- でき方:表皮の中のずれで細胞が壊れる
- 決め手:ずれが繰り返された回数
- 予防の鍵:ずれの回数と、皮膚のそばの水分を減らす
マメは、表面がこすれてできるのではありません。表皮の内部でせん断、つまり層と層が横にずれる力が働き、その場所の細胞が壊れることで起きます(Hoffman 2016)。
この違いは言葉の問題ではありません。表面の摩擦だと思っている限り、対策は「滑りを良くする」方向にしか向かいません。実際には、靴の中で足が動いて同じ場所が何度もずれる回数が、マメの数を決めています。
同じ総説が予防の鍵に挙げているのは、次のものです[9]。ずれの回数を減らすこと、皮膚のそばに水分と異物をためないこと、潤滑剤をこまめに使うこと。合った靴で圧の集中点をなくすこと、たこを取り除くこと、ずれにくい中敷き、練習で皮膚を慣らすことです。
靴下が手を出せるのは、この並びのうち2つだけ
靴下が関われる範囲もはっきりします。皮膚のそばに水分をためないことと、足が靴の中で動く量を減らすこと。この2つです。たこの処理も中敷きも皮膚の慣れも、靴下では動かせません。
起きている人数も書いておきます。ブラジル南部のロードランナー76名を診察した研究があります(Purim & Leite 2014)。いちばん多かった皮膚の問題が足のマメで50%。男性61%・38±11歳・週25〜64km走る層が多い集団です。軍の基礎訓練でも、訓練を終えた新兵173名の57%に出ています(Van Tiggelen 2009)。
どちらも日本のランナーを測ったものではありません。ただ、半数前後に起きていることを「自分の走り方が悪いから」と受け取る必要はない、という材料にはなります。
では、指が分かれている靴下は、そのずれを減らしているのでしょうか。
五本指と二重層の靴下は、マメを減らすかどうかが確かめられていない
五本指ソックスにすればマメは防げますか?
2024年の総説は、五本指ソックスについて「効果は確立されていない」と明記しています。紙テープを貼った足で五本指を併用した場合は、マメの発生が増えることと関連していました。二重層も3つの研究で結果の向きが揃っていません。
五本指の靴下がマメを減らすかどうかは、確かめられていません。2024年に出た予防戦略の総説は、その一文をそのまま書いています(Rushton & Richie 2024)。効果が否定されたという意味ではなく、判定できる研究がないという意味です。
それどころか逆向きの報告があります。ウルトラマラソンで紙のテープを調べた試験の中で、テープを貼った足に五本指ソックスを併用した場合、マメの発生が増えることと関連していました[8]。
これは1つの試験の中での観察で、五本指だけを比べた結果ではありません。「逆効果」とまでは読めず、読めるのは、指が分かれていれば安心とは言えないところまでです。
二重層の靴下は、3つの研究で結果の向きが揃っていない
生地を2枚重ねて、ずれを靴下の内部で吸収させるという考え方もあります。同じ総説は3つの研究を並べ、「二重層の靴下についての根拠は割れている」と評価しています[8]。2種類ともマメを減らした研究、2種類のうち1種類だけが減らした研究、単層のほうがよく守っていた研究が並びます。前の章で挙げた新兵357名の試験も、薄い内側を足しただけの群が77%で、標準だけの69%より高く出ていました[13]。
形で選ぶのを止めたいのではありません。履き心地が良いから五本指を、安心だから二重層を選ぶのは自由です。ただ「マメ対策だから」を理由にすると、根拠のないところにお金を払うことになります。形でも素材でも決まらないとすると、残っているのは何か。靴下から少し離れた場所に、もう少し確かな手がかりがあります。
足が濡れていた人のほうが、マメは多かった
足の汗はマメと関係がありますか?
ハイカー86名の観察研究では、マメがあった群のほうが足の角層の水分量が高くなっていました(因果の向きは決められません)。足を乾かす介入では、制汗剤を3晩以上塗った269名でマメの発生が21%、プラセボ群は48%でした。
- 実測:マメがあった群は足の角層の水分が高かった
- 部位:指のあたり・前足部・かかと
- 制汗剤:マメ21%対48%。ただし皮膚の刺激が57%
濡れた足では、乾いた足より多くマメが見つかっています。ハイカー86名の足を部位ごとに角層の水分計で測った観察研究です(Gracia-Sánchez 2024)。マメがあった群のほうが水分量が高く、左足では水分量とマメの関係が統計的に有意でした。ただし観察研究なので、濡れているからマメができたのか、できた足が濡れやすかったのかは決められません。
水分がいちばん高かったのは、指のあたり・前足部・かかと[12]。別の集団での結果ですが、マメが出やすい場所の傾向とは近いところにあります。
総水分量は女性のほうが高く、年齢とは逆の相関も報告されています。
濡れた靴下で歩いた人は、マメのリスクが1.94倍高いと報告されている
もう1つ、繊維と濡れを同時に見た研究があります。スペインの巡礼路を歩くハイカー203名を、宿で聞き取りと診察をして調べたものです(Chicharro-Luna 2022)。平均253.7km歩いた集団で、68.5%にマメが出ていました。
濡れた靴下で歩いた人では、マメのリスクが1.94倍高いという関連が報告されています(95%信頼区間 1.04〜3.61)[14]。これも観察研究なので、濡れていたからマメができたのかは決められません。そして同じ研究の多変量解析では、天然繊維と合成繊維の割合はマメの有無と関連していませんでした。
足を乾かす方向の介入では、マメが21%と48%に分かれた
もっと直接的に足を乾かした試験もあります。士官候補生に制汗剤を5晩塗ってもらい、6日目に21kmのハイキングをして足を診察した二重盲検です(Knapik 1998)。3晩以上塗った269名で、マメの発生率は制汗剤の群21%・プラセボの群48%。ただし皮膚の刺激の報告が57%と6%に分かれました[10]。男性23名の別の試験では、発生にも重さにも差が出ていません[11]。
だから、この記事は制汗剤を積極的には勧めません。減った試験があるのは事実ですが、その同じ試験で半数以上が皮膚の刺激を報告しています。レース前に足の皮膚を荒らすリスクを、いまの根拠で引き受ける必要はありません。
皮膚に何も塗らずにできることもあります。総説が挙げていたのは「皮膚のそばに水分をためないこと」[9]。汗を吸ったまま何時間も同じ靴下で走る状態が、そこからいちばん遠い場所です。途中で立ち寄れるコースなら、替えの1足を持って履き替えるのはこの並びの中にある手です。
では、決まった場所にできる人は何をすればいいのか。靴下より直接的に試された方法があります。
いつも同じ場所にできるなら、紙のテープを貼る方法が2回試されている
靴下以外に、試されている方法はありますか?
250kmを6ステージで走るレースで、マメができやすい場所に紙のテープを貼った試験では、マメが40%減りました。一方、2年前に足全体へ貼った試験では予防効果が出ていません。同じ研究チームの2試験で結果が分かれています。
紙のテープは、貼る場所を絞った試験で40%の減少が出ています。250kmを6ステージで走る砂漠のレースで、参加者128名を対象にした試験です(Lipman 2016)。片足の「マメができやすい場所」に貼り、同じ足の貼っていない場所を比較の相手にしました。心当たりがない人には無作為に選んだ場所へ貼っています。
貼った場所でマメは40%減りました。95%信頼区間は28〜52、1つのマメを防ぐのに必要な人数(治療必要数)は1.31です[7]。128名のうち106名に117個のマメができ、内訳は指が50%・かかとが23%でした。
同じチームの2年前の試験では、予防効果が出ていない
ここで止めると片側だけを見せることになります。同じ研究チームが2014年に出した試験では、予防効果が確認できませんでした(Lipman 2014)。250kmを7日で走るレースで片足の全体に貼り、もう片方の足を比較の相手にしたものです。解析できた90名のうち、貼った足は47件(52%)、貼らなかった足は35件(39%)。有意差はありません(P=.22)。数だけ見れば貼った足のほうが多かったことになります。
それでも、この2014年の試験では参加者の84%が「今後もマメ予防に紙のテープを選ぶ」と答えています[6]。
2つの試験の違いは、貼る場所と比べ方にある
違いは2点です。1つは貼る範囲で、2016年は「できやすい場所だけ」、2014年は「足の全体」。もう1つは比べる相手で、2016年は同じ足の貼っていない場所、2014年はもう片方の足でした。どちらが結果を分けたのかは決められません。それでも、あなたが試すときの形は決まります。いつも決まった場所にできる人が、その場所にだけ貼る。これが40%という数字が出た側と同じ形です。
評価も割れています。2017年の系統的レビューは、中程度の確信を置けた数少ない例として紙のテープを挙げました[4]。一方で2024年の総説は「1件はむしろマメが多かった」として、根拠は割れていると評価しています[8]。新しいほうが慎重です。ここまでで、試せる手とその確かさが出そろいました。買い物の話に移ります。
靴下を買うときに見るのは、生地の作りと足に合うサイズの2つ
靴下を買うなら何を見て選べばいいですか?
選ぶときに見るのは生地の作りとサイズの2つです。新兵357名の試験でマメが40%まで下がったのは、厚く密な外側と薄い内側を重ねた組み合わせでした。繊維の割合はハイカー203名でマメと関連せず、五本指も二重層も効果は確かめられていません。
- 作り:下がった群は厚く密な外側と薄い内側の組み合わせ
- サイズ:効果を確かめた研究はないが、ずれを減らす理屈はある
- 見ないもの:繊維の割合・五本指か二重層かで選ばない
買うときに見るところは2つだけです。生地の作りと、足に合うサイズ。ただし作りで下がったと確かめられているのは、厚く密な外側と薄い内側を組み合わせた条件だけです。それ以外は、マメを減らすという理由では選べません。
繊維の割合で選ぶ根拠は弱く、差が出たのは生地の作りだった
1990年の研究が比べたのは、アクリル100%と綿100%です[2]。市販品でこの両端にあたるものは多くなく、裏の表示はたいてい混紡です。その追試では差が消え、ハイカー203名でも繊維の割合とマメに関連はありませんでした。繊維を根拠に1足を選ぶ理由は、いまのところ弱いところにあります。
代わりに動いたのが作りです。できるのは、下がった側の条件に寄せるところまでになります。
サイズは「確かめられていないが、やる理由はある」に分類される
2024年の総説は「合った靴や靴ひもの結び方がマメ予防に果たす役割を確かめた科学的研究は行われていない」と書いています[8]。靴下のサイズを直接調べた試験も、今回の調査では見つかりませんでした。それでも理屈のうえでの裏づけはあります。マメは表皮の中のずれで起きるので、靴の中で足が動く量が減れば、ずれの回数も減るからです[9]。大きすぎて足の下でたるむ靴下も、小さすぎて指先が押される靴下も、ずれる相手を増やします。
内ももや脇など、皮膚と皮膚・皮膚と生地がこすれる場所は、対処が別になります。そこでは生地の種類で水ぶくれの大きさが変わった実験もありますが、靴の中の足とは条件が違います。そちらはこちらの記事で説明しています。
替えるのは、ロング走1回につき1つだけ
| 何を替えるか | どこまで確かめられているか | 試すなら何をするか |
|---|---|---|
| 生地の厚みを試す | 新兵357名で、厚く密な外側と薄い内側の組み合わせが69%→40%。繊維の割合はハイカー203名で関連なし | 厚手表示の1足をロング走1回で試す(試験の組み合わせそのものの再現ではない) |
| 濡れたまま走り続けない | マメがあった足は角層の水分が高かった。総説も「皮膚のそばに水分をためない」を鍵に挙げる | 汗をかく日・長い距離を走る日は替えを1足持つ |
| できやすい場所に紙のテープ | 2件の試験で割れている。場所を絞ると40%減、足全体では差なし | 毎回同じ場所にできる人は、そこにだけ貼って試す |
| 五本指・二重層という形 | 五本指は効果が確立されていないと総説が明記。二重層は3研究で向きが揃わない | 履き心地で選ぶのは自由。マメ対策を理由にしない |
| 足に制汗剤を塗る | 21%対48%で減った試験と、差が出なかった試験がある。減った試験では刺激が57% | 皮膚が荒れる可能性を引き受ける方法。積極的には勧めない |
一度に2つ替えると、どちらのおかげか分かりません。替えるのはロング走1回につき1つにしてください。
どこから始めるかは、いま履いているもので決まります。薄い1足なら厚み、すでに厚手なら上の表の2つ目からです。
先に決められるのはサイズのほうです。2cm刻みで分かれている商品なら、いまの1足と比べて足の下でたるむか、指先が押されるかを自分で判定できます。
いま履いている靴下が足に合っているか、あなたは確かめたことがありますか。
この記事は、特定の商品でマメが減ると言うものではありません。ここまでに挙げた研究は、いずれも市販のランニングソックスを検証したものではないためです。そのうえで、サイズが分かれている一例を挙げます。アシックス ソックス10は23.0-25.0/25.0-27.0/27.0-29.0cmなど、2cm刻みでサイズが分かれています。厚みは商品ページに書かれていないので、この記事では判定していません。挙げているのは厚みの代わりではなく、サイズが買う前に読めるからです。厚みのほうは、届いてからいま履いている1足と指で挟んで比べてください。
よくある質問
Q. できてしまったマメは、潰したほうがいいですか?
A. この記事が扱うのは予防だけで、できたあとの処置は範囲の外です。皮膚を破る判断は感染の可能性と隣り合わせで、傷の状態を見ずに一般論では決められません。痛みで歩き方が変わる、赤みや熱を持つ、膿が出る、糖尿病など傷の治りに関わる持病がある、という場合は自己判断を続けずに医療機関で相談してください。
Q. 着圧ソックスやカーフスリーブを履けば、マメも減りますか?
A. 着圧のウェアはふくらはぎを外から支えるためのもので、足裏や指のマメを減らすかを調べた研究は今回の調査では見つかりませんでした。目的が別なので、マメ対策として買う理由にはなりません。着圧そのものはカーフスリーブの記事で扱っています。
Q. 靴のサイズを変えればマメは減りますか?
A. 2024年の総説は「合った靴や靴ひもの結び方がマメ予防に果たす役割を確かめた科学的研究は行われていない」と書いています[8]。一方でマメは表皮の中のずれで起きるため、靴の中で足が動く量を減らすことには理屈のうえでの裏づけがあります[9]。確かめられていないが、やる理由はある、という段階です。
Q. 足に制汗剤を塗るといい、と聞きました。試していいですか?
A. 結果が割れています。3晩以上塗った269名ではマメの発生が21%、プラセボは48%でした[10]。ただし同じ研究で皮膚の刺激の報告が57%に出ています(プラセボは6%)。別の試験では差が出ませんでした[11]。皮膚が荒れる可能性を引き受ける方法なので、この記事からは積極的には勧めません。
まとめ
この記事で押さえたこと
- 繊維だけを替えてマメが減った研究は1件で、追試では差が消え、ハイカー203名でも繊維とマメに関連はなかった
- 動いたのは作りで、新兵357名の試験は厚く密な外側と薄い内側の組み合わせで69%から40%へ下がった
- マメは表面の摩擦ではなく、表皮の中で同じ場所が何度もずれることで起きる。濡れた靴下で歩いた人はリスクが1.94倍高いという関連が報告されている
- 五本指は効果が確立されておらず、二重層も3つの研究で向きが揃っていない
- できやすい場所に紙のテープを貼った試験ではマメが40%減ったが、足全体に貼った2年前の試験では差が出ていない
ロング走のたびにマメができるのは、走り方や我慢が足りないからではありません。ロードランナー76名を診察した研究では50%、訓練を終えた新兵173名では57%に出ています[1]。薄い靴下で走っているなら、まず生地の厚みを試す。汗をかく日は替えを1足持つ。いつも同じ場所にできるなら、そこにだけ紙のテープを貼る。この3つが、いまの研究に触れている範囲です。ただし厚みで下がったのは試験の組み合わせで、市販の1足がそれを再現するとは限りません。
確かめられていないことも同じ強さで書いておきます。五本指も、繊維の割合も、マメを減らすと確かめた研究はありません。そこにお金をかける前に、上の3つを1つずつ試すほうが、あなたの足で答えが出ます。
私は道具を増やす前に、いま使っているものを1つだけ替えて確かめる派。あなたはどっち? ①厚い靴下を新しく買う / ②いまの靴下のまま、できる場所にテープを貼ってみる。コメントで教えてください。
戦う君は、ひとりじゃない。アスリートRPG。
参考文献・出典
出典リスト14件 — タップで表示
- Purim KSM, Leite N. (2014) Sports-related dermatoses among road runners in Southern Brazil. An Bras Dermatol. PMID 25054745
- Herring KM, Richie DH. (1990) Friction blisters and sock fiber composition. A double-blind study. J Am Podiatr Med Assoc. PMID 2304016
- Herring KM, Richie DH. (1993) Comparison of cotton and acrylic socks using a generic cushion sole design for runners. J Am Podiatr Med Assoc. PMID 8289142
- Worthing RM, Percy RL, Joslin JD. (2017) Prevention of Friction Blisters in Outdoor Pursuits: A Systematic Review. Wilderness Environ Med. PMID 28602272
- Van Tiggelen D, Wickes S, Coorevits P, Dumalin M, Witvrouw E. (2009) Sock systems to prevent foot blisters and the impact on overuse injuries of the knee joint. Mil Med. PMID 19317200
- Lipman GS, Ellis MA, Lewis EJ, et al. (2014) A prospective randomized blister prevention trial assessing paper tape in endurance distances (Pre-TAPED). Wilderness Environ Med. PMID 25443754
- Lipman GS, Sharp LJ, Christensen M, et al. (2016) Paper Tape Prevents Foot Blisters: A Randomized Prevention Trial Assessing Paper Tape in Endurance Distances II (Pre-TAPED II). Clin J Sport Med. PMID 27070112
- Rushton R, Richie D. (2024) Friction Blisters of the Feet: A Critical Assessment of Current Prevention Strategies. J Athl Train. PMID 36701678
- Hoffman MD. (2016) Etiological Foundation for Practical Strategies to Prevent Exercise-Related Foot Blisters. Curr Sports Med Rep. PMID 27618242
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- Reynolds K, Darrigrand A, Roberts D, et al. (1995) Effects of an antiperspirant with emollients on foot-sweat accumulation and blister formation while walking in the heat. J Am Acad Dermatol. PMID 7673497
- Gracia-Sánchez A, Martínez-Nova A, Moya-Cuenca C, et al. (2024) Influence of skin hydration level on the occurrence of blisters on the foot during hiking. Int Wound J. PMID 39675818
- Knapik JJ, Hamlet MP, Thompson KJ, Jones BH. (1996) Influence of boot-sock systems on frequency and severity of foot blisters. Mil Med. PMID 8918120
- Chicharro-Luna E, Gijon-Nogueron G, Sanchez-Rodriguez R, Martínez-Nova A. (2022) The influence of sock composition on the appearance of foot blisters in hikers. J Tissue Viability. PMID 35144880
この記事の用語
本文の点線つきの語をタップすると、説明がその場に出ます。
- せん断(shear)
-
物体の内部で、層と層が互いに横へずれるように働く力。押す・引くとは向きが違い、面に沿ってずらす方向にかかる。
この記事では、マメができる仕組みとして出てくる。表面が削れるのではなく、内側でこのずれが繰り返される。
- 表皮(epidermis)
-
皮膚のいちばん外側の層。細かい層が重なった構造で、外からの刺激や水分の出入りを受け止めている。
この記事では、マメが生じる場所として出てくる。壊れるのは表面ではなく内部。
- 角層(stratum corneum)
-
表皮のいちばん外側にある薄い層。水分を保ちながら刺激を防ぐ役目を持ち、湿ると柔らかくなる。
この記事では、ハイカー86名の足で測られた水分量の対象。
- 二重盲検(double-blind)
-
参加者も結果を測る側も、どちらの条件に割り当てられたかを知らされないまま進める研究のやり方。思い込みが結果に入るのを抑える。
この記事では、アクリルと綿を比べた1990年の研究がこのやり方。
- 系統的レビュー(systematic review)
-
決めた手順で論文を集め、あらかじめ決めた条件で選び直してまとめて評価する方法。1本の研究より広い範囲を見渡せる。
この記事では、806件から11件を選んだ2017年のレビューとして出てくる。
- アクリル(acrylic)
-
石油を原料とする化学繊維の一種。水を吸いにくく、水分を外へ移しやすい性質を持つ。
この記事では、比較でマメが少なかった側の繊維として出てくる。
- 制汗剤(antiperspirant)
-
汗が出る量そのものを抑えることを目的とした外用のもの。においを抑えるだけのものとは働きが違う。
この記事では、足を乾かす方向の介入として出てくる。
- 治療必要数(number needed to treat)
-
ある方法で1人分の結果を変えるのに、何人へ行う必要があるかを表す数。小さいほど少ない人数で1件を防げる。
この記事では、紙のテープの試験で1.31と報告されている。

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