AI協業 本記事は覆面アスリート本人の体験・意見・判断をベースに、AIアシスタント(Claude)の支援を受けて構成・編集しています。
秋冬に屋内や朝夜の練習が増えて、日に当たる時間が減った競技者へ。血中ビタミンDは秋から春に下がり、不足の線を割るのは主に屋内競技です。日光・食事・サプリのどれを足すかを、住む地域と練習環境から決められます。
✅ 本記事で得られること
- 自分のビタミンDが足りていない可能性を、季節と練習環境から見当づけられる
- 日光でどれだけ作れるかが、住んでいる地域と季節でどう変わるかが分かる
- サプリで期待できることと、期待できないことを、研究の結果どおりに切り分けられる
👤 こんな方におすすめ
- 秋から冬にかけて屋内練習や朝夜の練習が増え、日に当たる時間が減っている方
- 「アスリートはビタミンDが不足しやすい」と読んで、自分に当てはまるか気になっている方
- サプリを買う前に、食事と日光で足りるのかを先に確かめたい方
仕事のあとに道場で稽古する日が多くて、日に当たる時間がほとんどありません。ビタミンDが足りていないと聞くんですが、足りているかどうかを自分で確かめる方法はありますか。
足りているかどうかは、血液検査をしない限り分かりません。ただ、どれくらい足りていない可能性が高いかは、季節と練習環境から見当をつけられます。
では、外で練習している人は足りているんですか? 私は屋内なので、先にサプリを買うべきなのかを知りたいです。
3月に不足の線を下回っていたのは、屋内競技の選手でした。ただ「外にいる」と「日に当たっている」は別です。朝と夕方はほとんど作れません。サプリはその次の話で、まず日光と食事でどこまで届くかを見ていきましょう。
ビタミンD不足はエリート選手でも約3割──分かれ目は性別ではなく、季節と練習環境
運動している人のビタミンD不足はどれくらいあるのか?
51の研究5,456人をまとめた解析では、血中のビタミンDが基準を下回っていた選手は成人で30%、思春期で39%でした。リスクが高いのは冬から早春、緯度の高い地域、そして屋内競技です。
ビタミンDが足りていない競技者は、珍しくありません。エリート選手を対象にした51の研究・5,456人をまとめた2022年の解析では、血中のビタミンDが基準を下回っていた割合は成人で30%(95%信頼区間 22〜39%)、思春期で39%(同 25〜55%)でした1。おおよそ3人に1人です。
「足りない」の線は血中25(OH)D 20 ng/mL──線を引く場所で割合は3割にも7割にも変わる
ビタミンDが足りているかどうかは、血液中の25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D:体内のビタミンDの量を見るときの指標)という物質の濃度で判定します。上の30%という数字は、この値が50 nmol/L(=20 ng/mL)以下を「不足」とした場合のものです1。
ここが読み違えやすいところです。日本の高校生アスリート21人を調べた研究では、30 ng/mLを超えて初めて充足とする基準を使っており、充足していたのは6人(28.6%)、不足または欠乏は15人(71.4%)でした4。同じ「足りない人の割合」でも、3割と7割の開きが出ます。研究によって最適とされる値が50 nmol/L・75 nmol/L・30 ng/mLとばらついており、競技者にとっての最適値として合意された数字は見当たりません。
※日本の高校生の研究は21人という小さな規模で、調査した季節や地域も示されていません。日本の高校生全体の割合として読める数字ではなく、こういう報告があるという範囲で受け取ってください4。
つまり、「◯%が不足」という数字を見たら、まずどこに線を引いた数字かを確かめる。それだけで、必要以上に不安になることも、逆に安心しすぎることも避けられます。
ビタミンDの不足に男女差はない──リスクを決めるのは季節・緯度・屋内競技
不足のリスクを分けているのは性別ではありません。上の解析では、男性と女性で不足の割合に差はありませんでした(相対リスク1.0・95%信頼区間 0.79〜1.26)1。一方でリスクとして繰り返し挙がるのは、冬から早春・北緯40度より高い緯度・屋内競技の3つです10。
この3つはどれも「日光に当たる量」に関わります。性別や競技の強度ではなく、いつ・どこで・どこにいて練習しているかが効いているということです。
※この緯度の基準は欧米の研究を前提にした目安で、日本にそのまま当てはめられる線ではありません(資料により37度とも40度とも記載されています)10,14。日本国内の差は、次の章の計算のほうが直接示しています。
3月に不足の線を下回ったのは屋内競技の選手──屋外競技でも、朝と夕方の練習ではほとんど作れない
3月に不足の線を下回っていたのは、屋内競技の選手でした。屋内競技と屋外競技の女性アスリートを1年間追った研究では、血中の値は3月に最低、9月に最高という波を描きました。屋内競技は3月19±4.0 ng/mL・9月32±6.6 ng/mL、屋外競技は3月32±2.7 ng/mL・9月39±5.7 ng/mLです2。屋内競技の3月は、この章の冒頭で見た不足の線(20 ng/mL)を下回っています。屋外競技は3月でも32 ng/mLで、線を上回ったままでした。原著も、屋内競技の選手のほうが不足しやすいと結論しています2。
ただし、「外で練習している」が「日に当たっている」と同じではありません。早朝と夕方は太陽光が斜めに入るため、皮膚が作るビタミンDはごくわずかです14。仕事や学校のあとに屋外で練習する日が続く週は、屋外競技でも日光の取り分は増えません。
大学の競技者を追った別の研究では、秋の52.8 nmol/Lから春の31.0 nmol/Lまで有意に低下し、春の時点で34%が欠乏に該当しました3。
※どちらも日本で行われた研究ではありません。血中の値は緯度に強く左右されるため、数字そのものをあなたの値として当てはめることはできません。読み取れるのは「秋から春にかけて下がり、下がり方が大きいのは屋内競技」という向きです2,3。
骨が弱くなれば、練習量そのものが削られます。疲労骨折を含めた怪我の予防は怪我しにくい体をつくる習慣の記事でまとめていますが、ここではまず栄養素として足りているかを詰めます。
足りなくなる中心にあるのは、日光です。では日光は、実際にどれだけ作ってくれるのか。
日光でビタミンDを作る時間は、12月の正午で那覇14分に対し札幌139分──前提が変われば、この数字も変わる
日光でビタミンDを作るのに、どれくらいの時間がかかるのか?
顔と両手の甲を晴天の日光に当てて、日光で補う分のビタミンDを作るのに必要な時間は、12月の正午で那覇14分・つくば41分・札幌139分です。地域差はおよそ10倍に開きます。
日光でビタミンDを作るのにかかる時間は、住んでいる場所と季節で10倍前後変わります。国立環境研究所と東京家政大学は、成人が1日に必要とするビタミンDを約15μgとし、食事からの平均摂取量5.5μgを引いた残り10μgを日光で補うと仮定して、顔と両手の甲(合計600cm²)を晴天の日光に当てたときに必要な時間を計算しています。12月の正午で那覇14分・つくば41分・札幌139分です13。
冬に必要なのは「時間を延ばす」ことではなく「別の手段を足す」こと
12月の札幌で正午に139分の日光浴を毎日続けられる競技者は、まずいません。この数字が示しているのは日光浴の目標時間ではなく、冬の高緯度では日光だけで賄う前提が崩れるという事実のほうです。曇りや雨の日はさらに長くなります9。
屋内競技も、朝夜だけの屋外練習も、正午の日光は受け取れません。冬に日光の取り分が減る人ほど、食事とサプリの比重が上がります。
同じ研究機関の試算が2つあり、前提が変わると答えは倍近く動く──札幌の12月は76.4分とも139分とも計算されている
上の分数をそのまま「これだけ浴びれば足りる」と読むことはできません。同じ研究機関が2013年に出した先行の試算では、日光で作る量を5.5μgとし、12月の正午に必要な時間を那覇7.5分・つくば22.4分・札幌76.4分としていました9。前提とする量が5.5μgか10μgかで、答えは倍近く動きます。
そしてどちらも、日本人の食事摂取基準(2025年版)の目安量9.0μgそのものを計算したものではありません8。発表資料自身も「モデルケースとして試算されたものであり、個人別の適正日光浴時間ではない」と書いています13。
ほかにも前提があります。晴天の日であること、日本人に多い肌の色であること、露出しているのは顔と両手の甲だけであること9,13。腕や脚を出せば面積が増えるぶん時間は短くなりますが、冬にそれをする競技者は多くありません。読み取るべきは分数そのものではなく、地域と季節でここまで差が開くという事実です。
日焼けの心配が要る量ではない──札幌の12月なら、139分に対して赤みが出るのは227分から
ビタミンDを作るための日光浴で、肌が赤くなる心配はほとんどありません。同じ12月の正午の条件で、皮膚に紅斑(赤み)が出始めるまでの時間は那覇42分・つくば98分・札幌227分で、ビタミンDを作るのに必要な時間より長くなります13。2013年の試算では、赤みが出るまでの時間は必要な照射時間の約4〜6倍とされていました9。つまり日焼け対策とビタミンDの確保は、二者択一ではありません。
日焼け止めについても同じことが言えます。日焼け止めとビタミンDの関係を調べたレビューは、実験室で規定量を厚く塗った条件では大きく減るものの、実地試験と観察研究を合わせるとリスクは低いと結論しています。SPF15を超える日焼け止めを日常的に使ってもビタミンD欠乏との関連を認めなかった研究が大半です11。
日光の取り分が減る時期に、次に見るのは食事です。何をどれだけ食べれば届くのか。
食事のビタミンDは魚ときのこに集まっている──成人の目安量は1日9.0μg
ビタミンDは食事からどれだけ摂取すればいいのか?
日本人の食事摂取基準(2025年版)の成人の目安量は1日9.0μg、耐容上限量は1日100μgです。ビタミンDが多いのは魚ときのこで、しらす干しは100gあたり61.0μg、べにざけは33.0μgを含みます。
- 目安量:18歳以上の男女とも1日9.0μg
- 耐容上限量:1日100μg
- 多い食品:あんこう肝・きくらげ(乾)・しらす干し・べにざけなど魚ときのこ
食事で狙う量は決まっています。日本人の食事摂取基準(2025年版)が示す18歳以上の目安量は1日9.0μg、耐容上限量は1日100μgです8。単位が IU(アイユー:国際単位)で書かれたサプリと比べるときは、1μg = 40 IU で換算します12。9.0μgは360 IU、100μgは4,000 IUにあたります。
目安量9.0μgは、日光に当たることを織り込んだうえでの数字
この9.0μgは「食事だけでこれを摂取しなさい」という数字ではありません。ビタミンDは日光でも作られるため、目安量は一定量の日光曝露を考慮した北欧諸国の基準を参考に算出されています8。日光の取り分が減れば、食事とサプリに求められる分は増えます。前の章で見た地域差と季節差が、そのままここに効いてきます。
※2020年版の目安量は8.5μgで、この数字を載せたままの記事も多く残っています。本記事は2025年版の9.0μgを使っています8。
ビタミンDが多い食品は魚ときのこに偏っている
ビタミンDを多く含む食品の顔ぶれは、はっきりしています。可食部100gあたりの含有量は次のとおりです8。
| 食品(可食部100gあたり) | ビタミンD含有量 |
|---|---|
| あんこう肝 | 110.0μg |
| きくらげ(乾) | 85.0μg |
| しらす干し | 61.0μg |
| べにざけ | 33.0μg |
| 干ししいたけ | 17.0μg |
| 鶏卵黄 | 12.0μg |
表の数字は100gあたり──1食で食べる量に置き換えて読む
この表をそのまま「きくらげを食べれば一発で足りる」と読むと外します。いずれも可食部100gあたりの値で、実際に1食で食べる量とは違います8。乾のきくらげを100g食べる人はいません。一方でべにざけは1切れが100g前後になることもあり、魚は現実的に量を稼げる側です。
つまり、食事で狙うなら魚が中心になります。逆に、遠征や合宿で魚が食卓から消える時期は、食事側の取り分が落ちると分かっていたほうがいい。
日光が減り、食事も安定しない時期。ここでサプリの話になりますが、期待していいことと、していけないことがはっきり分かれています。
ビタミンDのサプリで競技力が上がることは確認されていない──残るのは、足りない分を補う役割
ビタミンDのサプリを飲むと、競技力は上がるのか?
アスリートにビタミンDを補充した11の対照試験436人をまとめた解析では、最大筋力もパワーも統計的に有意には改善しませんでした。呼吸器の感染症を防ぐ効果も、2025年の更新解析では有意ではなくなっています。
ビタミンDのサプリで競技力が上がることは、いまのところ確認されていません。筋力もパワーも呼吸器の感染症も、上乗せの効果は対照試験で示されていません。残るのは、足りていない分を血中で補うという役割です——これは消去法で残ったものであって、「埋めれば強くなる」ことが直接確かめられたわけではありません。
筋力とパワーの上乗せは、11の対照試験をまとめた解析で確認されていない
「飲めば強くなる」は、現時点の研究では支持されていません。アスリートを対象にした11のランダム化比較試験・436人をまとめた2023年の解析では、上半身の最大筋力(標準化平均差0.25・95%信頼区間 −0.44〜0.95・p=0.47)、下半身の最大筋力(同0.26・−0.13〜0.65・p=0.19)、パワー(同0.06・−0.15〜0.27・p=0.55)のいずれも、統計的に有意な改善はありませんでした5。このうち上半身・下半身の筋力の数値は、もともと血中の値が低かった人(75 nmol/L未満)に絞った解析のものです5——足りていない人に絞っても、上乗せは確認されていません。パワーの0.06は全体をまとめた値で、この絞り込みは掛かっていません。
※この解析に含まれた試験は、用量が週50,000 IUから単回120,000 IUまで大きくばらつき、期間も6〜16週と幅があります。参加者の大半は男性でした。著者自身も研究間のばらつきの大きさを限界として挙げています5。
逆の結果を報告した研究もあります。日本の高校生アスリートを調べた研究では、女子15人で血中のビタミンDと総仕事量に有意な相関が見られ(rs=0.637・p=0.011)、さらに同じ研究で1日1,000 IU を6ヶ月間摂取させたところ、血清の値は27.0→37.9 ng/mL(p<0.001)、無酸素パワーは580W→598W(p<0.001)、ピークパワーは386W→396W(p<0.05)へ上がりました4。著者は、高校生アスリートには1日1,000 IU を勧めてもよいかもしれない、と結論しています4。
※ただしこの摂取の部分には対照群がありません(著者自身が限界として挙げています)4。飲んだ前後で比べただけなので、上がったのがサプリのおかげか、6ヶ月分の成長・練習・季節の変化かを分けられません。なお対象は高校生で、未成年の摂取量は保護者と医師の判断を優先してください。
風邪などの呼吸器感染症を防ぐ効果は、2025年の更新で統計的に有意でなくなった
ここは、いま情報が入れ替わったばかりの部分です。2021年に発表された解析では、ビタミンDの補充が急性呼吸器感染症を防ぐ効果が示されていました(オッズ比0.92・95%信頼区間 0.86〜0.99)7。この結果は多くの記事で引用されています。
ところが同じ著者らが新しい試験を加えて2025年に更新したところ、全体としては統計的に有意な予防効果は見られませんでした(オッズ比0.94・95%信頼区間 0.88〜1.00・p=0.057・40試験61,589人)7。年齢でも、もともとのビタミンDの値でも、飲む頻度でも、用量でも、効果の違いは見つかっていません。さらに著者らは、発表された研究に偏りがある可能性(ファンネルプロットの非対称・Egger検定 p=0.0020)も報告しています7。
つまり、「冬にビタミンDを飲めば風邪を防げる」とは、いまは言えません。点推定値そのものは2021年とほとんど変わっていないので、効果が完全に否定されたわけでもありません。予防を主目的に買うのは分の悪い期待だ、というのが現在地です。なお、重篤な有害事象の割合はプラセボと変わりませんでした(オッズ比0.96・95%信頼区間 0.90〜1.04)7。
疲労骨折が20%減った試験は、カルシウム2000mgとの併用──ビタミンD単独の結果ではない
骨の話でよく引かれる「20%」には、必ず併記すべき条件があります。女性の海軍新兵5,201人を対象にした2008年のランダム化比較試験で、カルシウム2000mgとビタミンD800 IUを毎日8週間与えた群は、疲労骨折の発生率が対照群より20%低くなりました(5.3%対6.6%)6。
ただしこの試験は2つを同時に与えているため、ビタミンD単独の効果を取り出すことはできません6。対象も競技者ではなく新兵で、期間も基礎訓練の8週間だけです。「ビタミンDで疲労骨折が20%減る」と縮めて書くと、出典が言っていないことになります。
サプリで足りない分を補うなら、飲む時間より置き場所を決めるほうが続く
飲む時間帯を最適化するより、切らさないことのほうが結果を左右します。ビタミンDは脂溶性なので理屈のうえでは食事と一緒が有利ですが、時間帯を比べて競技者で差を確かめた試験は見当たりません。だとすれば、続く形に寄せるのが現実的です。
総合サプリで足す道もあります。ただし総合サプリのビタミンDは1日分で5μg前後の製品が多く、それだけでは目安量9.0μgに届きません。あくまで食事と日光への上乗せです。総合サプリそのものの要否と飲むタイミングは、専用の記事で扱っています。
サプリを何から始めるかで迷っているなら、トレーニングサプリの入門ガイドが全体の順番を示しています。
足す量が決まったら、最後に確かめるのは上限です。3つのルートのうち、飲みすぎが起こりうるのはひとつだけです。
飲みすぎが起こりうるのはサプリだけ──1日100μgを超えると高カルシウム血症が起きる
ビタミンDは摂りすぎると危ないのか?
ビタミンDの耐容上限量は1日100μg(4,000 IU)です。超えると高カルシウム血症が起き、血管壁や腎臓などにカルシウムが沈着して腎機能障害・食欲不振・嘔吐が生じます。上限に届きうるのは、量を自分で決められるサプリです。
- 耐容上限量:1日100μg(4,000 IU)
- 超えると:高カルシウム血症が起き、腎機能障害・食欲不振・嘔吐が生じる
- 日光:赤みが出るまでの時間のほうが必要な時間より長く、浴び続けて上限に当たる設計ではない
日光・食事・サプリの3つは、上限という物差しの上では対等ではありません。耐容上限量は1日100μg(4,000 IU)で8,12、日常の食事で毎日これを超えるのは現実的ではなく、日光浴は赤みが出るまでの時間のほうが必要な時間より長く、浴び続けて上限に当たる設計ではありません13。量を自分で決められるのはサプリだけで、上限を意識すべきなのもサプリだけです。
上限を超えると高カルシウム血症が起き、腎機能障害・食欲不振・嘔吐が生じる
摂りすぎたときに起きることは、はっきり分かっています。高カルシウム血症が起こり、血管壁や腎臓、心筋、肺に多量のカルシウムが沈着して、腎機能障害・食欲不振・嘔吐が生じます8。逆に欠乏したときは、腸からのカルシウム吸収と腎臓での再吸収が低下し、成人では骨軟化症、高齢者では骨粗鬆症のリスクが上がります8。
サプリのラベルは IU 表記が多く、2,000 IU = 50μg、4,000 IU = 100μg です12。複数のサプリを併用していると、総合サプリと単体サプリで二重に摂取していることに気づきにくくなります。足し算だけは確かめてください。
自分の値を知りたいなら、推測ではなく血液検査で確かめる
この記事でできるのは、足りていない可能性の見当をつけるところまでです。実際に足りているかは、血中の25(OH)Dを測らないと分かりません。季節・緯度・練習環境・肌の色で個人差が出るため、割合の数字から自分の値を逆算することはできません1,2。
骨に不安がある、疲労骨折を繰り返している、といった心当たりがあるなら、サプリを増やす前に医療機関で相談してください。
よくある質問
Q. ビタミンDのIUとμgは、どう換算しますか?
1 IU = 0.025 μg、逆に 1 μg = 40 IU です12。サプリのラベルが1,000 IUなら25μg、2,000 IUなら50μgにあたります。日本人の食事摂取基準(2025年版)の目安量9.0μgは360 IU、耐容上限量100μgは4,000 IUです8。
Q. 日焼け止めを塗ると、ビタミンDは作れなくなりますか?
日常の使い方では、ほとんど問題にならないと考えられています。日焼け止めとビタミンDの関係を調べたレビューは、実験室で規定量を厚く塗った条件では大きく減るものの、実地試験と観察研究を合わせるとリスクは低いと結論しています。SPF15を超える日焼け止めを日常的に使っても、ビタミンD欠乏との関連を認めなかった研究が大半でした11。
Q. 総合サプリを飲んでいれば、ビタミンDは足りますか?
製品によりますが、それだけで目安量に届く設計にはなっていません。総合サプリのビタミンDは1日分で5μg前後の製品が多く、日本人の食事摂取基準(2025年版)の目安量9.0μgには届きません8。食事と日光への上乗せとして考えてください。
Q. ビタミンDのサプリは、いつ飲むのがいいですか?
時間帯を比べて結論を出した研究は確認できていません。ビタミンDは脂溶性なので理屈のうえでは食事と一緒が有利ですが、実際に差が出るかを競技者で確かめた試験は見当たりません。時間帯を最適化するより、切らさずに続けられる時間に固定するほうが確実です。
Q. 冬だけ飲んで、夏はやめてもいいですか?
季節で切り替える飲み方の是非を確かめた試験は確認できていません。ただし血中の値が秋から春にかけて下がり、夏に上がるという季節変動そのものは複数の研究で報告されているため2,3、日照が減る時期に重点を置く考え方には根拠があります。個人の値は緯度・練習環境・肌の色でも動くので、判断したいなら血液検査で自分の値を確かめてください。
まとめ
この記事で押さえたこと
- エリート選手のビタミンD不足は成人30%・思春期39%。ただし「不足」の線をどこに引くかで割合は大きく変わる
- 血中の値は秋から春にかけて下がる。3月に最低になるのは屋内も屋外も同じだが、不足の線を割ったのは屋内競技
- 日光で作るのにかかる時間は12月の正午で那覇14分・つくば41分・札幌139分。冬の高緯度は日光だけで賄う前提が崩れる
- 食事の目安量は1日9.0μg・上限は100μg。ビタミンDが多いのは魚ときのこで、量を稼げるのは魚
- サプリの上乗せ効果は、筋力・パワーも呼吸器感染症の予防も、最新の解析では確認されていない。残るのは足りない分を補う役割だけ
- 飲みすぎが起こりうるのは3つのルートのうちサプリだけ。複数のサプリを併用しているなら足し算を確かめる
あなたが冬にやることは、日光の取り分がどれだけ減るかを住んでいる場所から見積もり、減った分を魚とサプリで埋めることです。強くなるためではなく、足りない冬を、足りているときと同じ体で越すために。
私が総合サプリを20年続けられたのは、意志の力ではありません。コップが入っている棚にビタミン剤を置いた——それだけです。目に入るから手が伸びる。飲む時間を最適化するより、置き場所を決めるほうが続きました。
※あくまで個人の経験であり、万人に当てはまるものではありません。
遠征や合宿で魚が食卓から消える週は、食事側の取り分がそのまま落ちます。総合サプリのビタミンDは目安量9.0μgには届きませんが、食事が崩れた日でも取り分をゼロにしない下限にはなります。総合サプリを飲むかどうかの判断は専用の記事に譲り、ここで扱うのは食事が崩れた週の下限をどう確保するかだけです。
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1日2錠でビタミンD3を5.0μg含む総合サプリ。ビタミンDだけを狙って満たす製品ではなく、食事と日光に上乗せする位置づけです。
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- 1日2錠にビタミンD3 5.0μg(目安量9.0μgの半分強)
- 60錠入り=30日分。切らさずに続ける単位で買える
- 単体のビタミンDサプリではないため、上限4,000 IUに近づく設計ではない
60錠入り(1日2錠で約30日分)
※これで冬の不足が解消するという意味ではありません。日光と食事の代わりにもなりません。欠乏が疑われる場合は、サプリを足す前に血液検査と医療機関での相談を優先してください。
私は、冬の日光はあてにしない派です。
あなたの冬の練習は ①昼に外にいる時間がある / ②朝と夜だけ、どっち?
よかったらコメントで教えてください。
戦う君は、ひとりじゃない。アスリートRPG。
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参考文献・出典
出典リスト(14件)— タップで表示
- Harju T, Gray B, Mavroedi A, Farooq A, Reilly JJ. (2022) Eur J Nutr 61(8):3857-3871. エリート選手51研究5,456人の系統的レビューとメタ解析。25(OH)D ≤50 nmol/L を不足と定義し、成人30%(95%CI 22-39%)・思春期39%(同25-55%)。男女差なし(RR 1.0)。異質性 I²=94%。PMC9596536
- Seasonal variations in vitamin D status in indoor and outdoor female athletes. 屋内・屋外の女性アスリートの縦断観察。3月に最低(屋内19±4.0・屋外32±2.7 ng/mL)、9月に最高(屋内32±6.6・屋外39±5.7 ng/mL)。振れ幅は屋内が大きい。PMID 27347414
- Seasonal variation in vitamin D status, bone health and athletic performance in competitive university student athletes: a longitudinal study. 大学競技者の縦断研究。秋52.8 nmol/L→春31.0 nmol/L へ有意に低下し、春に34%が欠乏。PMC7054308
- 武田英二ら (2025) The Journal of Medical Investigation 72(1.2):167-171. 日本の高校生アスリート21人(男子6・女子15)。30 ng/mL超を充足として充足6人(28.6%)・不足/欠乏15人(71.4%)。女子で25(OH)Dと総仕事量に相関(rs=0.637, p=0.011)。著者自身がサンプルサイズの小ささと対照群のなさを限界として挙げる。紹介記事(日本スポーツ栄養協会)
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- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」。ビタミンDの成人目安量9.0μg/日・耐容上限量100μg/日。目安量は一定量の日光曝露を考慮した北欧諸国の基準を参考に算出。食品含有量(可食部100gあたり)はあんこう肝110.0μg・きくらげ乾85.0μg・しらす干し61.0μg・べにざけ33.0μg・干ししいたけ17.0μg・鶏卵黄12.0μg。欠乏で骨軟化症・骨粗鬆症、過剰で高カルシウム血症。健康長寿ネット(要約)
- 国立環境研究所・東京家政大学(中島英彰・宮内正厚)2013-08-30 発表。両手と顔(600cm²)を晴天の日光に当ててビタミンD 5.5μgを生成するのに必要な時間。12月正午=那覇7.5分・つくば22.4分・札幌76.4分、7月正午=那覇2.9分・つくば3.5分・札幌4.6分。最少紅斑紫外線量に達するまでは必要照射時間の約4〜6倍。国立環境研究所 プレスリリース
- Vitamin D deficiency in athletes: Laboratory, clinical and field integration. 総説。外的リスク因子として冬〜早春・北緯40度超・屋内競技を挙げる。PMC9256943
- Neale RE, et al. (2019) Br J Dermatol 181(5):907. / Passeron T, et al. (2019) Br J Dermatol 181(5):916-931. 日焼け止めとビタミンDの関係。実験室条件では理論上のリスクがあるが、実地試験と観察研究の重みではリスクは低い。SPF15超の日常使用でビタミンD欠乏との関連を認めなかった研究が大半。PMID 30945275
- Dietary Reference Intakes for Calcium, Phosphorus, Magnesium, Vitamin D, and Fluoride(NCBI Bookshelf). 単位換算 1 IU = 0.025 μg(1 μg = 40 IU)。1 IU はコレカルシフェロール0.025μgの生物活性として定義される。NBK109831
- 国立環境研究所 地球環境研究センター(中島英彰・宮内正厚)×東京家政大学 2014-11-27 発表。成人の1日必要量を約15μgとし、食物平均摂取量5.5μgを引いた残り10μgを日光で補うと仮定。顔と両手の甲(600cm²)・スキンタイプIII・晴天。12月正午のビタミンD生成に必要な時間=札幌139分・つくば41分・那覇14分、紅斑が出始めるまでの時間=札幌227分・つくば98分・那覇42分。資料自身が「モデルケースとして試算されたものであり、個人別の適正日光浴時間ではない」と明記。国立環境研究所 プレスリリース
- Vitamin D. StatPearls(NCBI Bookshelf NBK441912). 早朝と夕方は太陽光が斜めに入るため皮膚が作るUVB由来のビタミンDはごくわずか。冬は太陽光がより斜めに入りオゾン層がUVBを多く吸収する。緯度37度を超えると皮膚に届くUVBが減る。NBK441912
なお、腎臓などに持病がある方・服薬中の方・妊娠中や授乳中の方は、サプリメントを始める前に医師に相談してください。本記事の内容は一般的な研究情報の紹介であり、個別の医学的助言ではありません。


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