ランニングの膝の痛み。痛む場所は3つ、手入れの中心は筋トレ。膝の外側は腸脛靭帯炎、お皿のまわりは膝蓋大腿疼痛症候群、お皿の下はジャンパー膝。1回の距離を急に伸ばすと使いすぎのけがが起きやすい カラダ
AI協業 本記事は覆面アスリート本人の体験・意見・判断をベースに、AIアシスタント(Claude)の支援を受けて構成・編集しています。
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10秒でわかるこの記事の内容

走ると膝が痛み、練習を続けてよいか迷っているランナーへ。膝の痛みは、痛む場所で外側・お皿のまわり・お皿の下の3つに分かれます。手入れの中心はストレッチより股関節と太ももの筋トレで、すぐ受診が要る痛みの目安と、痛みを見ながら練習を続ける時の目安が分かります。

✅ 本記事で得られること

  • 痛む場所から、自分の膝の痛みがどの型に近いかの目安が分かる
  • ストレッチだけに頼らず、膝を支える筋トレにも時間を使える
  • すぐ受診が要る痛みと、量を落として練習を続けてよい痛みを分けて考えられる

👤 こんな方におすすめ

  • 走る距離を増やした時期や、久しぶりに走った後に膝が痛くなった人
  • ジャンプの多い競技の練習で、お皿の下が痛む人
  • 膝の痛みにストレッチを続けているのに、なかなか良くならない人
ゆっきーが膝の痛みを相談する
ゆっきー

オフシーズンに市民マラソンへ向けて走る量を増やしたら、膝が痛くなりました。ストレッチをすれば治りますか?

覆面アスリートが共感の笑顔
覆面アスリート

まず、膝のどこが痛むか教えてください。外側か、お皿のまわりか、お皿の下かで、原因と手入れが変わります。

ゆっきーが疑問を投げかける
ゆっきー

場所で違うんですね。練習は、痛みが消えるまで休むしかないんでしょうか?

覆面アスリートが本文へ誘導
覆面アスリート

休むか続けるかは、まず受診が要る痛みかで決めます。続ける時の痛みの目安と、筋トレが手入れの中心になる理由も見ていきましょう。

ランニングの膝の痛みは、痛む場所で外側・お皿のまわり・お皿の下の3つに分かれる

膝の痛みは痛む場所によって負担がかかる部位が違い、外側は腸脛靭帯、お皿のまわりはお皿の裏側の関節、お皿の下はお皿とすねの骨をつなぐ膝蓋腱に負担がかかっています。

Q膝のどこが痛いと、どの痛みですか?A外側は腸脛靭帯炎、お皿のまわりは膝蓋大腿疼痛症候群、お皿の下はジャンパー膝が代表的です。ジャンパー膝は膝蓋腱炎とも呼ばれます。

膝の痛む場所と、負担がかかる部位 痛む場所は自分の痛みの型を知るための目安で、診断ではありません 腸脛靭帯 お皿 お皿の裏側の関節 膝蓋腱 1 2 3 ← 外側 内側 → 右膝を前から見た模式図 1 膝の外側 ─ 腸脛靭帯炎 2 お皿のまわり ─ 膝蓋大腿疼痛症候群 3 お皿の下 ─ ジャンパー膝(膝蓋腱炎) 膝の内側 ─ この3つの型に入らない 医療機関で診てもらってください アスリートRPG │ marin-oceanlife.com 膝の痛む場所と、負担がかかる部位 痛む場所は自分の痛みの型を知るための目安で、 診断ではありません 腸脛靭帯 お皿 お皿の裏側の関節 膝蓋腱 1 2 3 ← 外側 内側 → 右膝を前から見た模式図 1 膝の外側 ─ 腸脛靭帯炎 2 お皿のまわり ─ 膝蓋大腿疼痛症候群 3 お皿の下 ─ ジャンパー膝(膝蓋腱炎) 膝の内側 ─ この3つの型に入らない 医療機関で診てもらってください アスリートRPG
どこが痛む? よく聞く呼び名 どこに負担がかかる? どんな人に多い?
膝の外側腸脛靭帯炎太ももの外側を通る腸脛靭帯の、膝の外側の部分ランナー。ランナーの膝の外側の痛みでは最も多い
お皿のまわり膝蓋大腿疼痛症候群お皿(膝蓋骨)と太ももの骨のあいだの関節ランナー
お皿の下ジャンパー膝(膝蓋腱炎)お皿とすねの骨をつなぐ膝蓋腱ジャンプの多い競技。バレーボールやバスケットボールの選手

膝の外側の痛みはランナーの5〜14%に起きると推定されています(van der Worp 2012)。お皿の下の痛みはノルウェーのトップ選手613人を調べた研究で、バレーボール選手の44.6%、バスケットボール選手の31.9%にありました(Lian 2005)。「ランナー膝」という呼び名は解説によって指す痛みが違うので、この記事では痛む場所で呼びます。

痛む場所は自分の痛みの型を知るための目安で、診断ではありません。膝の内側が痛む時はこの3つの型に入らないので、場所がはっきりしない時と同じく、医療機関で診てもらってください。

膝の外側の痛みは、腸脛靭帯が骨とこすれて起きると説明されることが多い痛みです。解剖の研究では、腸脛靭帯は太ももの骨にしっかり付いていて前後には滑らず、靭帯の下にある脂肪の組織が押されることと関わるという仮説も出ています(Fairclough 2006)。原因を調べた研究は少なく、結果も食い違っています[1]。

自分の痛みがどの型に近いかが分かると、このあとの章で紹介する筋トレのうち、どれを自分に当てはめればよいかが決まります。

3つの痛みは場所こそ違いますが、ランニングの使いすぎのけがとして起きやすい時期があります。

膝の痛みを含む使いすぎのけがは、1回に走る距離を急に伸ばした時に起きやすい

膝の痛みを含むランニングの使いすぎのけがは、1回に走る距離を、過去30日で一番長く走った1回より10%を超えて伸ばした時に起きやすくなるという報告があります。

Q膝が痛くなったのは、走りすぎたからですか?A週の合計より、1回の距離を急に伸ばしたことが関わっている場合があります。週の合計距離を増やしても、けがが増える関係は見られませんでした。

1回の距離を伸ばした幅と、使いすぎのけがの起きやすさ 伸ばした幅は、過去30日で一番長く走った1回と比べた差 10%以下に抑えた人 比べる基準 10〜30%伸ばした人 1.64倍 30〜100%伸ばした人 1.52倍 2倍を超えて伸ばした人 2.28倍 伸ばした分だけ一直線に増えるわけではありませんが、 10%を超えるとどの区分でも起きやすくなっています けがは本人の報告で、膝の痛みの型ごとには分けていません 走った量とけがの関係を観察した研究なので、距離の伸ばしすぎが原因だとまでは言えません 出典: Frandsen 2025(5,205人のランナーを18か月追った研究) アスリートRPG │ marin-oceanlife.com 1回の距離を伸ばした幅と、 使いすぎのけがの起きやすさ 伸ばした幅は、過去30日で一番長く走った1回と比べた差 10%以下に抑えた人 比べる基準 10〜30%伸ばした人 1.64倍 30〜100%伸ばした人 1.52倍 2倍を超えて伸ばした人 2.28倍 伸ばした分だけ一直線に増えるわけでは ありませんが、10%を超えるとどの区分でも 起きやすくなっています けがは本人の報告で、膝の痛みの型ごとには 分けていません。走った量とけがの関係を 観察した研究なので、距離の伸ばしすぎが 原因だとまでは言えません 出典: Frandsen 2025(5,205人・18か月) アスリートRPG

1回の距離の伸びを過去30日の最長の10%以下に抑えた人と比べると、10〜30%伸ばした人は使いすぎのけがが1.64倍、30〜100%伸ばした人は1.52倍、2倍を超えて伸ばした人は2.28倍起きやすくなっていました。伸ばした分だけ一直線に増えるわけではありませんが、10%を超えるとどの区分でも起きやすくなっています。5,205人のランナーを18か月追った研究の結果です(Frandsen 2025)。

参加者は約8割が男性で平均45.8歳、けがは本人の報告で、膝の痛みの型ごとには分けていません。走った量とけがの関係を観察した研究なので、距離の伸ばしすぎが原因だとまでは言えません。

この10%は週の合計ではなく1回の距離の物差しです。「週の距離は10%ずつ増やす」という目安に沿った練習でも、走り始めの532人のけがは減りませんでした(目安に沿った13週の練習で20.8%、通常の8週の練習で20.3%・Buist 2008)。週の合計だけを見ていると、1回の長い練習で急に距離が伸びたことに気づきにくくなります。

体重の増え方も膝の負担に関わります。歩く時の計算では、体重が1kg増えると、膝にかかる最も大きい力は約2.3〜2.7kg分増えます(Knarr 2015)。人工膝関節の人の測定で確かめた3人分のシミュレーションで、走る時の値ではありません。練習量の増やし方の全体は、けがで練習を離れないための習慣の記事で詳しく説明しています。

練習を増やす時は、週の合計より先に、その日の1回の距離が過去30日の最長を大きく超えていないかを確かめます。過去30日で一番長い1回が10kmなら、11kmを超える日が10%を超える伸びです。

では、すでに膝が痛い時は、休むべきでしょうか。

膝が痛む時に練習を続けるかは、受診が要る痛みかを先に確かめてから、痛みの戻り方で決める

練習を続けるかを決める前に、英国の公的医療サービス(NHS)が「すぐに相談」とする膝の痛みに当てはまらないかを確かめてください。当てはまる時は、練習より受診が先です。

Q1どんな膝の痛みなら、すぐ病院に相談すべきですか?A体重をかけられない、ひどく腫れる、熱が出て膝が赤く熱い、膝が固まる・崩れる時です。英国の公的医療サービスは、次のように目安を分けています(NHS)。

すぐに相談する膝の痛み

  • 痛みが非常に強い、膝を動かせない、体重をかけられない
  • 膝がひどく腫れている、形が変わっている
  • 高い熱と寒気があり、膝が赤く熱を持っている
  • 膝が固まって動かなくなる、ガクッと崩れる、痛みを伴ってカクッと鳴る(痛みの無い音は問題ない)

かかりつけの医療機関に相談する膝の痛み

  • 数週間たっても痛みが良くならない

強くぶつけて痛みや腫れが非常に強い時と、歩けないほど痛む時は、夜間や休日でも受診します(メディカルノート)。

Q2受診の目安に当てはまらない痛みなら、練習は続けてよいですか?Aスポーツの後に痛む程度や、途中と後で痛んでもプレーに支障がない程度なら、スポーツは続けられるとする学会の解説があります。

国内の整形外科の学会が監修した膝の慢性障害(腸脛靭帯炎やジャンパー膝など)の解説は、スポーツの後に痛む程度や、途中と後で痛んでもプレーに支障がない程度なら、スポーツは続けられるとしています(日本整形外科スポーツ医学会)。英国の公的医療の理学療法の声明は、脚の腱の痛みについて、リハビリの運動で強まった痛みが次の運動までに普段の水準へ戻っていることを、リハビリの運動の負荷を上げる目安にしています(NHS Lothian)。ジャンパー膝の男性39人のリハビリの筋トレでも、運動中の痛みは許し、運動をやめた後に痛みが増えないことを条件にしていました(Kongsgaard 2009)。お皿のまわりの痛みでは、時々の弱い痛み(10点中3点未満)なら負荷の高い運動へ進め、強い痛みが続く時(5点を超える時)は膝への負担を減らす、という分け方が診療ガイドラインにあります(Willy 2019)。これは運動の強さを選ぶための分け方で、走り続けてよい痛みの上限ではありません。

この記事では、続ける時は練習の回数や量を減らして、痛みの変化に気づきやすくすることを勧めます。脚の腱の痛みについて、先の声明も活動の頻度を減らし、できれば競技は続けるとしています[10]。

痛みが次の練習までに普段の状態へ戻らない時や、日ごとに強くなる時は、受診を考えてください。どこまで減らすかは痛み方によって人それぞれなので、迷ったら医療機関やトレーナーに相談してください。

受診の目安に当てはまらない膝の痛みなら、次の練習までに普段の状態へ戻るかを確かめながら、練習の回数や量を減らして続ける選択肢があります。

練習量を落としたら、次は膝のために何をするかです。

膝の痛みの手入れは、ストレッチより股関節と太ももの筋トレが中心になる

膝の外側・お皿のまわり・お皿の下の3つの痛みでは、研究や診療ガイドラインが、ストレッチではなく股関節と太ももの筋肉を鍛える運動を手入れの中心に置いています。根拠の強さは痛みの型ごとに違い、お皿のまわりの痛みでは米国理学療法士協会の診療ガイドラインが、膝と股関節の運動を組み合わせることを勧めています。

Q膝が痛い時は、ストレッチをすれば良くなりますか?Aストレッチだけで良くなる根拠は乏しく、手入れの中心は筋トレです。痛む場所ごとに、鍛える場所が少しずつ違います。

膝の外側・お皿のまわりの痛みの筋トレとして、横向きに寝て上の脚を持ち上げ、脚を外へ開くお尻の横の筋肉(股関節外転筋)を使う運動

膝の外側の痛みは、股関節の外側の筋肉を鍛える研究が多い

膝の外側の痛みでは、脚を外へ開く股関節外転筋の筋トレを、ほかの治療と組み合わせた研究で、痛みと膝の使いやすさが良くなっていました(Sanchez-Alvarado 2024)。使われた種目は横向きに寝て上の脚を持ち上げる運動、片脚スクワット、ゴムバンドを付けての横歩きなどです。ランナー201人・13の研究をまとめた解析で、小さな試験や症例報告が中心です。回数はまだ決まっていません。

お皿のまわりの痛みは、膝と股関節の運動を組み合わせる

お皿のまわりの痛みでは、膝の運動と股関節の運動を組み合わせることが勧められています(Willy 2019)。膝の運動はスクワット、レッグプレス、台の昇り降り、股関節の運動は横向きに寝て脚を持ち上げる運動が例に挙がっています。痛みが強く続く時(10点中5点を超える時)は膝蓋骨のテーピングのように膝への負担を減らす対応が合い、時々の軽い痛み(3点未満)なら体重をかける筋トレのように負荷の高い運動が合う、と同じガイドラインは分けています。

お皿の下の痛み(ジャンパー膝)は、太ももの前の筋トレを少しずつ重くする

お皿の下の痛みは太ももの前の大腿四頭筋の筋トレを、何週間もかけて少しずつ重くしていくのが基本です。進め方は次の章で見ます。

ストレッチは太ももの張りが気になる時に使い、膝の痛みの手入れの代わりにはしない

ストレッチは、けがの予防にはっきりした効果が確かめられておらず、膝の痛みをストレッチだけで治せることを示した研究も限られています。ストレッチを続けてもけがが減る結果は出ず、筋トレを続けた人ではけがが約3分の1に減っていました。スポーツのけがを調べたランダム化比較試験25本をまとめた解析の結果です(Lauersen 2014)。膝の外側の痛みでも、ストレッチだけで良くなったことを示す研究は限られています[13]。

一方、国内の整形外科の学会が監修した解説は、膝の慢性的な痛みの治療として、運動前に内転筋・大腿四頭筋・腸脛靭帯のストレッチを、運動後にアイシングを勧めています[9]。治療としてのストレッチについては、学会の解説と研究とで見方が違います。膝の外側の痛みの治療を調べた研究では、ストレッチだけで良くなったことを示すものは限られ、学会の解説は根拠にした研究を示していません。

ストレッチで何をしたい? 分かっていること あなたがすること
膝の痛みを治したい、けがを防ぎたい研究では、ストレッチだけで良くなる・けがを防げるという根拠は乏しい筋トレを中心にし、ストレッチに頼りきらない
太ももの張りや動きにくさをやわらげたい張りへの効果は、この記事の参考文献には含まれていない張りが気になる時に、太ももの前・外側・内側を痛みの出ない範囲で伸ばす。膝の痛みへの筋トレの代わりにはしない

膝の痛みそのものには筋トレ、太ももの張りにはストレッチ、と役割を分けて使います。ストレッチを練習の前と後のどちらで行うかは、静的ストレッチと動的ストレッチの使い分けの記事にまとめています。

膝が痛む時は筋トレの時間を先に確保し、ストレッチは太ももの張りが気になる日に足す、という順で組みます。

お皿の下の痛み(ジャンパー膝)は、筋トレの進め方まで示した診療ガイドラインがあるので、次の章で詳しく見ます。

ジャンパー膝が治らない時は、太ももの前の筋トレを12週以上かけて段階的に重くする

お皿の下が痛むジャンパー膝の手入れの中心は大腿四頭筋の筋トレで、オランダの診療ガイドラインは、根拠の確かさはとても低いとしながらも、運動を最初の治療に置いています(Ophey 2025)。

Qジャンパー膝が治らない時は、何を変えればいいですか?A太ももの前の筋トレを、12週以上かけて少しずつ重くしていきます。医療機関で診断を受けた後は、まず12週運動してから、ほかの治療を考える順にするのがガイドラインの考え方です。

ガイドラインは運動を次の順で進めるように書いています。

  1. 痛みの管理: 痛みの仕組みと負荷のかけ方を知り、膝にかける負荷を調整する
  2. 筋力をつける: 大腿四頭筋の筋トレを、少しずつ重くしながら最低12週続ける。重い重さをゆっくり上げ下げする筋トレを優先し、痛みが強い時は膝を曲げ伸ばしせずに力を入れ続ける等尺性運動を使ってもよい
  3. 跳ぶ動きを戻す: 競技によって、ジャンプのような動きを始める
  4. 保つ: 筋力を保つ運動を続ける

重い重さをゆっくり上げ下げする筋トレを試した男性39人の試験では、種目はスクワット、レッグプレス、ハックスクワットの3つで、週3回、12週かけて少しずつ重くしていきました[11]。12週後には、注射や、傾斜をつけた台の上での片脚スクワットを試した群とともに良くなり、半年後も改善が保たれ、満足度が最も高くなっていました。注射を受けた人は、半年後には効果が薄れていました。

膝を曲げ伸ばしせずに力を入れ続ける運動は、運動の直後に痛みを少し下げますが、21人の試験では下がり幅は小さく、45分後には残りませんでした(Holden 2020)。痛みが強くて重い筋トレができない時に使ってもよい、とガイドラインは位置づけています。

ガイドラインは、12週運動を続けても変化が無い時に、ほかの治療を考えるとしています[15]。注射は勧められておらず、手術は6か月以上ほかの方法を続けても良くならない人に限られます。重さや回数、受けている治療の見直しは、診てもらっている医師や理学療法士の判断を優先してください。

膝の痛みのよくある質問

Q1. お皿の下の痛みに、バンドやテーピングは使った方がいいですか?
お皿の下の痛みに使うバンドやテーピングは、運動中や運動直後の痛みが短い間軽くなったという研究があるだけで、長く使って治ったことを示す研究は見つかっていません(Vander Doelen 2020)。ジャンパー膝の診療ガイドラインでも、12週運動して変化が無い時に考える追加の選択肢という位置づけです[15]。脚の腱の痛みの研究68本をまとめた解析でも、運動にほかの治療を足して運動だけより良くなるという確かな証拠はありませんでした(Challoumas 2023)。

Q2. フォームローラーで膝の外側をほぐすと良くなりますか?
膝の外側の痛みの保存療法をまとめた解析(13研究)には、フォームローラーだけを確かめた研究は含まれていませんでした[13]。フォームローラーで何が変わり、何が変わらないかは、ふくらはぎを例にしたフォームローラーの記事で説明しています。

Q3. 膝が痛い時は、冷やすのと温めるのとどちらがいいですか?
国内の整形外科の学会が監修した解説は、膝の慢性的な痛みに対して、運動後に15分のアイシングを勧めています[9]。根拠にした研究は示されておらず、温めることについては書かれていません。冷やすか温めるかは目的や痛めてからの時期でも変わるので、場面ごとの使い分けは競技者のアイシングの記事で整理しています。

Q4. 下り坂を走ると膝の外側が痛むのはなぜですか?
下り坂では着地の時の膝の曲がり方が変わり、膝の外側に負担がかかりやすいと考えられています(Orchard 1996)。ただし、腸脛靭帯が骨とこすれるという考え方を前提にした、9人のランナーの動きなどをもとにした説で、下り坂で痛みが増えることを直接確かめた研究ではありません。

Q5. ハイロックスのレースで膝のサポーターを使ってもいいですか?
ハイロックスの公式ルールブックがレース中に使ってよいとする道具に、膝を筒状に包むニースリーブが入っています(HYROX 公式ルールブック)。使える道具の一覧はハイロックスの持ち物の記事にまとめています。

まとめ

この記事で押さえたこと

  • ランニングの膝の痛みは、外側(腸脛靭帯炎)・お皿のまわり(膝蓋大腿疼痛症候群)・お皿の下(ジャンパー膝)の3つに分かれる
  • 膝の痛みを含む使いすぎのけがは、1回に走る距離を過去30日の最長より急に伸ばした時に起きやすい
  • 体重をかけられない・ひどく腫れる・膝が固まる・崩れる膝の痛みは、すぐに医療機関へ相談する
  • 受診の目安に当てはまらなければ、練習の後に普段の状態へ戻るかを見ながら、量を落として続ける選択肢がある
  • 手入れの中心は股関節と太ももの筋トレで、ストレッチは太ももの張りが気になる時に使う
  • ジャンパー膝は、太ももの前の筋トレを12週以上かけて少しずつ重くしていく

膝の痛みは、どこが痛むかを確かめ、受診の目安に当てはまらないなら、痛みの戻り方を見ながら量を落とし、筋トレで支えるという順に考えると、次にすることが決まります。

覆面アスリートが体験を話す
覆面アスリート

ひと月に体重を7kg増やした時期は、体がその重さに慣れず、走ると膝が痛くなりました。増量は計画的に進めるのが大切です。

あくまで個人の経験であり、万人に当てはまるものではありません。

覆面アスリートが読者に問いかける
覆面アスリート

私は、受診が要る痛みでなければ、まず量を減らして様子を見たい派です。
あなたは ①量を減らして走り続ける派 / ②いったん走るのを休む派、どっちですか。
コメントで教えてください。

戦う君は、ひとりじゃない。アスリートRPG。

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参考文献・出典

出典リスト(20件)— タップで表示
  1. van der Worp MP ら. Iliotibial band syndrome in runners: a systematic review. Sports Med. 2012;42(11):969-992. PMID 22994651(系統的レビュー)。PubMed
  2. Lian ØB, Engebretsen L, Bahr R. Prevalence of jumper’s knee among elite athletes from different sports. Am J Sports Med. 2005;33(4). PMID 15722279(エリート選手613人の横断研究)。PubMed
  3. Fairclough J ら. The functional anatomy of the iliotibial band during flexion and extension of the knee. J Anat. 2006;208(3):309-316. PMID 16533314(献体15体とMRI 6人の解剖研究)。PubMed
  4. Frandsen JSB ら. How much running is too much? Identifying high-risk running sessions in a 5200-person cohort study. Br J Sports Med. 2025;59(17). PMID 40623829(5,205人・18か月の観察研究)。PubMed
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  6. Knarr BA, Higginson JS, Zeni JA. Change in knee contact force with simulated change in body weight. Comput Methods Biomech Biomed Engin. 2016;19(3):320-323(2015年オンライン公開). PMID 25760517(3人の歩行シミュレーション)。PubMed
  7. NHS 111 Wales「Knee pain」─ すぐに相談する目安・かかりつけ医に相談する目安(2026年10月26日取得)。111.wales.nhs.uk
  8. メディカルノート「膝の腫れ」─ 受診の目安(2026年10月26日取得)。medicalnote.jp
  9. 日本整形外科スポーツ医学会 広報委員会 監修「スポーツ損傷シリーズ 10. 膝の慢性障害」(2026年10月26日取得)。jsoa.or.jp
  10. NHS Lothian 理学療法「Lower Limb Tendinopathy」─ 痛みを負荷を上げる目安に使い、運動で強まった痛みが次の運動までに普段の水準へ戻っていること(2026年10月26日取得)。apps.nhslothian.scot
  11. Kongsgaard M ら. Corticosteroid injections, eccentric decline squat training and heavy slow resistance training in patellar tendinopathy. Scand J Med Sci Sports. 2009;19(6):790-802. PMID 19793213(男性39人のランダム化比較試験)。PubMed
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  14. Lauersen JB, Bertelsen DM, Andersen LB. The effectiveness of exercise interventions to prevent sports injuries: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. Br J Sports Med. 2014;48(11):871-877. PMID 24100287(ランダム化比較試験25本・26,610人のメタ解析)。PubMed
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  16. Holden S ら. Isometric exercise and pain in patellar tendinopathy: a randomized crossover trial. J Sci Med Sport. 2020;23(3):208-214. PMID 31735531(膝蓋腱症21人のクロスオーバー試験)。PubMed
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  18. Challoumas D ら. Effectiveness of Exercise Treatments with or without Adjuncts for Common Lower Limb Tendinopathies: A Living Systematic Review and Network Meta-analysis. Sports Med Open. 2023. PMID 37553459. doi:10.1186/s40798-023-00616-1(ランダム化比較試験68本)。DOI
  19. Orchard JW ら. Biomechanics of iliotibial band friction syndrome in runners. Am J Sports Med. 1996;24(3):375-379. PMID 8734891(ランナー9人の動作の研究)。PubMed
  20. HYROX 公式ルールブック SINGLE 26/27(日本語版)─ レース中に使える道具(2026年10月25日取得)。hyroxjapan.com
本記事は膝の痛みについての一般的な情報で、診断や治療の代わりにはなりません。痛みが続く時、強くなる時は、整形外科などの医療機関を受診してください。研究の内容は2026年10月26日時点で確認したものです。

この記事の用語

本文の点線つきの語をタップすると、同じ説明がその場に出ます。

膝蓋大腿疼痛症候群(patellofemoral pain syndrome)

お皿(膝蓋骨)のまわりや裏側が痛む状態をまとめた呼び名。お皿と太ももの骨のあいだの関節に負担がかかる。

この記事では、走って膝が痛む3つの型のうち、お皿のまわりの痛みとして出てきます。

腸脛靭帯(iliotibial band)

骨盤の外側から太ももの外側を通り、膝の外側の下まで伸びる、帯のような丈夫な組織。

この記事では、膝の外側の痛み(腸脛靭帯炎)で負担がかかる部位として出てきます。

膝蓋腱(patellar tendon)

お皿の下の端と、すねの骨をつなぐ腱。太ももの前の筋肉の力をすねの骨に伝える。

この記事では、お皿の下の痛み(ジャンパー膝)で負担がかかる部位として出てきます。

股関節外転筋(hip abductors)

脚を体の外側へ開く時に働く、お尻の横の筋肉のまとまり。

この記事では、膝の外側の痛みの手入れで鍛える筋肉として出てきます。

ランダム化比較試験(randomized controlled trial)

参加者をくじ引きのような方法で2つ以上の群に分け、方法の違いで結果がどう変わるかを比べる研究。

内転筋(hip adductors)

太ももの内側にある、脚を閉じる時に働く筋肉のまとまり。

大腿四頭筋(quadriceps)

太ももの前にある4つの筋肉のまとまり。膝を伸ばす時に働く。

この記事では、ジャンパー膝の手入れで少しずつ重くして鍛える筋肉として出てきます。

診療ガイドライン

研究の結果をもとに、専門家が病気やけがの治療の進め方をまとめた文書。

等尺性運動(アイソメトリック運動)

関節の角度を変えずに、筋肉に力を入れ続ける運動。

この記事では、ジャンパー膝の痛みを抑える段階で使ってよい運動として出てきます。

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